偽りに隠れた真実(1)
また、シリーズ(というか長編?)を始めてしまいます。。。
本編よりの沖x千鶴です。
今後の展開では、新選組メンバーも登場させる予定でいます。
・・・もち、皆、千鶴が大好きです☆
よろしければ、どうぞお付き合いくださいませ(^。^)
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私の手をしっかり握り、私をジッと見つめる新緑の瞳。
その目元は仄かに紅く染まっている。
「千鶴ちゃん、僕は君が好きだよ。少しも離れていたくないんだ」
急な沖田さんの言葉に反応することも出来ないほど蒼白となっている。
本来ならばこんな風に告げられれば胸を高鳴らせる場面なんだろうけど、今の私にはできない。
それが”偽り”だと理解しているから。
まさか、沖田さんが”コレ”を食べてしまうなんて!!
こうなってしまったのには、こんな経緯があった---
それは昨日のこと。
お千ちゃんが屯所まで私に会いにきてくれたことに始まる。
島原の一件での協力者でもあることで、私の部屋のみで限られた時間だけという条件付きで会うことを許してくれた。
もちろん、近藤さんの口添えもあったのけれど。
私の部屋でお千ちゃんと二人でひとしきりおしゃべりをした後、お千ちゃんは悪戯っぽい笑顔を浮かべながらこう切り出した。
「そういえば、この前言ってた”気になる人”とは何か進展はあった?」
「えぇ!!??」
ふいに私の脳裏に浮かんだのはあの人で・・・。
私を守ってくれた背中、簪を挿し直した後に私の髪を掻き分ける優しい指先、いつもと違う物言い--
あの時に感じた胸の高鳴りを無意識に思いだしてしまった。
私の頬は自然と熱を持ちだす。
そんな私の様子を見ていたお千ちゃんはポンと手を一度打つと、着物の袖からおもむろに桜色の包みを差しだしてきた。
お千ちゃんは私の手にその包みを乗せてこう言った。
「千鶴ちゃんへのお土産。これね、金平糖なんだけど・・・」
「わぁ、ありがとう。一緒に食べよう」
「ううん、これは千鶴ちゃんが食べたら駄目よ」
「え?」
「千鶴ちゃんの”気になる人”に千鶴ちゃんの目の前で食べさせてちょうだい」
「どういうこと?」
「この金平糖ね、ホレ薬入りらしいわよ」
「えぇ、ほ、ホレ・・・!?」
「ね、千鶴ちゃんも”気になる人”に試してみたら?」
「っっ、わ、私は別に・・・」
私は、その言葉と手の中にある”ホレ薬入り”だという金平糖の存在に慌てふためいてしまう。
そんな時、時間の終わりを告げる沖田さんの声が襖の向こうから声が掛けられる。
「千鶴ちゃん、もうすぐ時間だよ」
「は、はいっ!!」
「じゃぁ、千鶴ちゃん頑張ってね」
「なに、何の話?」
「いえ!な、なんでもないんです!!気にしないでください!!」
「ふぅん、そう?まぁ、僕も君の事なんて興味ないけどね」
沖田さんの視線と言葉に耐えきれず畳へと視線を落とした私を助けるようにお千ちゃんが言葉を挟んでくれて、私は少しだけホッとした。
「沖田さん、もう時間なんですよね。では、私はこの辺でお暇します」
「あぁ、それじゃ外まで送るよ」
「はい、お願いします」
「千鶴ちゃん、彼女は僕が責任もって外まで送るから君は仕事に戻ってくれる?」
「は、はいっ」
今夜の食事当番は私だった。
食事の準備が始まる時間までという条件でこの時間を頂いていた私は、沖田さんの言葉に素直に頷く。
「千鶴ちゃん、今日はありがとう。大変だろうけど頑張ってね」
「うん。お千ちゃんも来てくれてありがとう、嬉しかった。外まで送れなくてごめんね」
「いいのよ。千鶴ちゃんも忙しいだろうし。それじゃ、またね」
「気をつけてね」
屯所の中を他の隊士たちに見つからないよう、来る時も私の部屋と外までの間は沖田さんが付き添ってくれていた。
監視を兼ねていたのかもしれないけど。
先ほどの賑やかさとは打って変わってシーンとした部屋に一人残った私の手の中には、その存在感を主張するほどの重みを感じさせる桜色の包みが佇んでいた。
「これどうしようー・・・」
この後、夕餉の準備に始まり少し忙しくなってゆっくり考えている暇もなく、桜色の包みにくるまれていた金平糖が一夜明けた今日も私の手の中にあった。
暖かな陽が降り注ぐ縁側でお茶を飲みながら休憩していた私は、包みを広げ金平糖をジッと見つめては溜息をつく。
どこからどう見ても匂いも普通の金平糖のように見えるけれど、お千ちゃんは”ホレ薬入り”と言っていた。
コレをどうしたらいいか途方に暮れてしまっていると、稽古を終えた沖田さんが通りかかり声をかけられる。
ボーっとしていた私は、そんなに大きな声でもなかったのに僅かに肩を震わせてしまった。
「あれ、千鶴ちゃん休憩中?」
「っ!!は、はい。お疲れ様です、沖田さん」
「ふーん。じゃぁ、僕もちょっと休もうかなぁ」
そう言いながら、沖田さんは私の隣へと腰を下ろすと、私の手の上に視線を移した。
「あれ、金平糖?少し貰うねー」
「え・・・」
沖田さんは返事を待たないまま、私の手の上からひょいっとソレを何粒か取り上げ口に入れる。
沖田さんの口の中に金平糖が入れられるのを見届けた私は、沖田さんから視線を外せずに凝視することとなった。
身体が固まってしまったともいうんだけど・・・
「んーー。やっぱり疲れた時は甘いものが一番だよね、千鶴ちゃ・・・」
そんなことを言いながら沖田さんも私を視界に捉えると、ピクリと動きを止めてしまう。
一瞬の静寂が生まれ、次に気付いた時には私の両手は沖田さんの手に包みこまれていた--
私たちの周りには、私の手から舞い落ちた色とりどりの金平糖が散らばっている。
「千鶴ちゃん、僕は君が好きだよ。少しも離れていたくないんだ」
そして、今に至っているという具合で---
「ね、千鶴ちゃんは僕のこと嫌い?」
「い、いえ、そんな嫌いなんて・・・・」
「本当に?じゃぁ、僕のこと好きなんだ?」
「へ?いえ、あの・・・」
「嬉しいな、僕たち相思相愛なんだね」
「え、えぇぇええ!!???」
「”嫌だ”って言っても、もう離さないからね」
「うっ、え、あ・・・」
沖田さんは私の身体にその腕を廻し、ギュッと抱きしめながら囁いたのだった。
何か言おうとしても言葉にならないほど、私の頭の中は益々と混乱を極めたのだった。
こ、これからどうなっちゃうの---!!!
【つづく】
‡‡後書き‡‡
お読みいただき、有難うございます。
またまた、カオスなことをおっぱじめてしまった感ありまくりの理空デス。。
・・・本当はこれ短編の予定だったんです。
が、何度も書き直しているうちに書きたいことが増えていきまして・・・。
また長くなりそうだったんで一層のこと続きものにしてやれーと、
してしまいました(大汗)
この先の内容は自分自身にも分かっていないという予定は未定☆な感じで
進めていきます。(←ヲイ)
いや、断片的に落ちは考えてるんですけどね。。。
よろしければ、お付き合いくださいませ。