<旧暦七夕企画>羽衣ならぬ隊服伝説☆ 後編
大変、遅くなって申し訳ありません!!
今更の七夕企画・後編でございます。
だんとつ1位だった総司編です。
(数票ですが、平助と土方さんにも入れていただいてましたので、こちらはこちらで何か考えようと思っています!)
投票いただいた皆様、有難うございます。
よろしければ、お持ち帰りくださいませ。
(誤字脱字などあったらスイマセン。先に謝っておきます。)
投票されていなくてもお読みいただくことはできますので、よろしければどうぞ。
では、色々詰め込んだ感ありまくりですが、(ていうか、マジで長いです、スイマセン)
「読んでみる?」から本編へドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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いつもの散歩コースで見つけた羽織を手にした千鶴が水しぶきの音がする方へと視線を向けると、楽しそうに水浴びをしている美しい・・・女(?)たちがおりました。
水浴びの様子に、楽しそうだな、と微笑ましい気持ちになった千鶴の瞳に一人の女(?)の姿が飛び込んできました。
たくさんの美しい女(?)たちの中でも千鶴の視線を絡め取るのは、悪戯っぽい笑顔の中にもどこか儚さを秘めたような美しい女(?)でした。
岩陰からその美しい姿を惚けたように見つめている千鶴の視線を捉えて離さないその人の周囲には水しぶきがキラキラと煌きながら空を舞っています。
それはまるで時間が止まったかのようでした。
水浴びがよっぽど気持ち良いのか茶目っ気のある翡翠色の瞳が満足そうに細められています。
けれど、その茶目っ気のある瞳とは裏腹に水に濡れた茶色い髪筋が張り付いた頬のラインにはゾクっとするほどの色気が醸し出されていました。
そして極め付けに水滴を弾くほどのきめ細かい肌に綺麗に引き締った体躯が惜しげもなく晒されています。
そう綺麗に引き締った――――
「・・・・おい総司、年頃の女子に裸を見せるのはいただけないと思うんだがな」
「やだなぁ、近藤さん、忘れちゃったんですか?今の千鶴ちゃんの設定は”独身の男”ですよ?」
「おぉ、そうだったな!」
「はい(ニッコリ)・・・・じゃぁ、続きをお願いしますね」
「あぁ、では続けるぞ」
千鶴の心臓がドクドクと今までに経験がないほどに高鳴り・・・そこで千鶴はハッと正気に戻ったのでした。
少しだけ視線を下へと移してみると、水浴びをしている女(?)たちは褌姿で。
視線の先にいる人の姿も―――
(き、きゃぁああああああ!!!!!!!!!!)
異性の身体を見る機会などなかった千鶴は心の中で悲鳴をあげると、真っ赤にした顔を浅黄色の羽織で覆いながら、その場を一目散で去って行ってしまいました。
「クスッ・・・本当に可愛いなぁ」
慌てて去っていくその小さな背中を見つめる人物がそんな呟きを漏らしたことも知らないままに――――
千鶴が走り去ってから暫くして水浴びを終えた女(?)たちは着物や羽織を掛けておいた松の木の下へと戻ってきました。
「ふーっ、気持ち良い水だったぜ。水上がりにはクイッといきてーなぁ」
猪口を傾ける仕草を見せながらそう言ったのは、燃えるような赤い髪をした女(?)でした。
「おぉ、いいねぇ。んじゃ、戻ったら島原まで繰り出すか、左之」
「何だよ、左之さんも新八っつぁんも島原に行くのか?酒が呑めんなら俺も行くっっ!!」
「そうだな、んじゃ行くか・・・斎藤も行くか?」
左之と呼ばれた女(?)は、もう一人酒好きがいるのを思い出し、少し離れた場所で黙々と着替えている寡黙な仲間へと誘いの言葉を掛けたのでした。
「いや、俺は遠慮する」
「なんで?左之さんたちと一緒に行けばいいじゃない、たまにはさ」
「総司・・・。ならば、お前が行けばいいだろ」
「ん?僕は一人でチビチビ呑むのが好きだから。それにこの後ちょっと用事があるからねぇ~、すっごーーく大事な、ね♪」
「大事な用?」
「うん。・・・・土方さんをからかったり、土方さんで遊んだり、土方さんを怒らせて楽しんだり、その他諸々・・・」
「総司っ!!あんたはいつも副長に苦労を・・・いい加減にしたらどうだ」
「じゃぁ、一君が遊び相手になってくれる?僕はそれでもいいよ、一君も面白いし♪」
「・・・・」
斎藤と総司の周囲が一瞬にして凍りついたのでした。
二人とも殺気さえも感じさせる油断ならぬ視線をぶつけ合っておりました。
その空気を破るように声をあげたのは、平助と呼ばれる女(?)でした。
「ちょ、ちょっと待てってば!!総司も一君も目が怖えーよ、マジになんなって!!」
「うるさいぞ、平助」
「そうだよ、うるさいよ平助」
「な、なんなんだよっっ!!!」
まったく相手にされずに憤りに肩を震わせた平助へと、憐れみを含んだ声がふってきました。
「あきらめろ、平助。あーなったら、ほっとくのが一番だ」
「あぁ。触らぬ神になんとやら、だぜ」
「左之さんも、新八っつぁんもーー」
・・・ある意味、いつものじゃれ合いを繰り広げながら、着替えておりました。
そして隊服を羽織り終えた頃、この集団の中では一番位の高いであろう艶やかな黒髪を一本に結った男・・・じゃなくて女(?)だったな、女(?)が高らかな掛け声をあげたのでした。
「・・・・・・・」
・・・・・・コホンッ、高らかな声を―――
「トシ、トシ!! 台詞を言ってくれ!!」
「・・・近藤さん、もう”女(?)”じゃなくて”男”でいいじゃねーか。実際、俺らは男なんだからよ」
「ダメだ!ダメだぞ、トシ!俺には語り部という役目がだな・・・」
「そこまで真面目に総司の戯言に付き合わなくてもいいんだよ、だいたい元々の羽衣伝説ともすでに違ってきてるじゃねーか」
「そうかもしれんが・・・なぁ、トシ。人にとって創造性というものは大切じゃないか?価値観を押し付けるのではなく、その子のもつ想像力を育ててやるのも俺たちの役目じゃないのか!?」
「近藤さん・・・・総司は一応小さい子供じゃないんだが・・・手を焼くのは変りはねぇが」
「総司は幾つになっても俺の弟であり子供のようなものだ!!」
「・・・はぁ。わかったよ。今回もアンタに免じて付き合うよ」
「分かってくれたか、トシ!!」
「・・・あぁ。これで最後にして欲しいけどな。おい、斎藤どこから・・・」
「副長、こちらからになります」
「なんだ斎藤、準備がいいじゃねーか」
「恐れ入ります。このようなことも度重なれば慣れるか、と」
「まぁな・・・総司の妄想もこれで何度目だってんだ」
「トシ、頼んだぞ!!」
「あぁ・・・」
――着物を身につけて隊服を羽織ると、この中で位の高いであろう艶やかな黒髪を一本に結った女(?)が高らかな掛け声をあげたのでした。
「よーし、てめーら天(屯所)に帰るぞッ!!」
「おーーーー!!」
水浴びをしていた女(?)たちの正体は、なんと天に住まう天女(?)だったのです。
ですが、高らかな掛け声に続いて威勢のいい声があげられる中、一人の天女(?)だけは困ったように・・・頬を緩ませ口元に笑みを浮べて・・・ん?・・・・なんで”笑み”なんだ?・・・こ、困ったような表情を、困ったように・・・・していなくても、困っていたのです!!
「あのー、土方さん」
「なんだ?」
「僕の隊服が無いみたいなんですけど」
「そうか・・・って、何て言った!!??」
「だ・か・ら、僕の隊服が無い、って言ったんですよ」
「総司ぃ・・・お前っっ!あれは新選組にとって命よりも大事なものだろうがっっ!!」
「いや、命はどうかと思いますけど(僕の命は近藤さんと千鶴ちゃんのものだし)・・・僕がわざと失くしたわけじゃないんですから。僕は確かにこの枝に(適当に)掛けましたし・・・」
「じゃぁ、何でねーんだよ」
「さぁー?僕に聞かれても知りませんよ(予想はついてますけど)」
「”さぁー?”じゃ、ねーんだよっっ!!」
「そー言われても・・・あ!!もしかして・・・・」
「なんだ、心当たりがあるのか?」
「僕の”びぼー”を妬んだ誰かさんが隠しちゃった、とか?」
「てめーぇはぁあああ!!俺をおちょくってんのかっっ!?」
「嫌だな、おちょくってなんかいませんよ?からかって遊んでるだけで♪」
「それを、”おちょくってる”って言うんだよ!!!てめーの話を真面目に聞こうとした俺が馬鹿だったよっ!!(怒)」
「あれ、”馬鹿”だって認めるんですか?」
「~~~っっ(怒)。いいかっ、何が何でも見つけやがれっっ!!!見つけるまでは帰ってくるんじゃねーー!!」
「あははは。隊服が無きゃ帰りたくても帰れないですよ、土方さん。もう呆けちゃったんですか?」
「っっっ!!!!!」
・・・・そ、そうなのですっ!!!実は、隊服とは天(屯所)に帰えるために必要不可欠なものなのでした。
隊服が無くては、天女(?)は天に帰ることはできません。
そして、もし誰かに持ち去られたのだとしたら、それも大問題です。
敵の手に渡ってしまえば、天(屯所)への進入を許してしまうことになります。
こうして副長の”鬼の一言”によって、隊服を失くした天女(?)・沖田総司は一人地上に残ることとなったのでした。
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原田と平助は顔を見合わせると、片側の口端をヒクヒクと引き上げて苦い笑みを浮べた。
「な、なんつーか・・・なぁ、左之さん?」
「あぁ、ツッコミどころ満載でどこからツッコミを入れていいのか分からねーな。つーか、俺たちが天女って、な?」
「だよな?しかも天女って言いながら俺ら思いっきり”男”じゃん。ムリあんだろ・・・”(?)”つけてぼかしたとしても!!」
「だぁーって、千鶴ちゃんの裸を他の男に見せるのは嫌だし、こういう配役にするしかないでしょ」
当たり前でしょ、とでもいうような表情で二人を見やった総司は楽しそうな笑みを浮べている。
・・・目は笑っていないのは”お約束”というものだろう。
「・・・やっぱりか、千鶴を男役にするからおかしいと思ったぜ」
原田は疲れたように溜息を吐くと、ある意味で納得のいく配役に頷いた。
それとは反対に平助は、物申すとでもいうように総司へと指先を突きつけて喚きたてた。
「っていうか!!なんで千鶴が見惚れる相手が総司なんだよ、納得いかねー!!」
「それは俺も同感だぜ。やっぱ大人の魅力の俺じゃねーのか」
平助の言葉に原田も頷きながら、何気に自分をアピールしている。
「何、言ってんだよ左之さんっっ、いくら芸者のお姉さん達にもてるからっておじさんはお呼びじゃないって!!やっぱ、・・・ち、千鶴には年も近いお・・・・」
平助の主張を遮るように言葉を発したのは総司だった。
「平助も左之さんも、ざーんねーん。皆は僕がいいんだって」
「はぁ!? ”皆”って誰だよ!?」
言葉の意味が分からず平助は訝しげな表情を総司へと向けた。
「ん、投票してくれたお嬢さん方に決まっているじゃない。千鶴ちゃんは”笑顔がカワイイ!”男にはあんまり興味ないみたいだね。それ以上に”大人の魅力”にはまったくこれっぽっちも興味無いみたいだけど。あ、そうそう、お嬢さん方、僕を選んでくれてありがとう、ご期待に添えられるように頑張るからね~~(ニヤリ)」
総司は満足そうな笑みを浮べながら”結果”を言ったかと思うと、今度は妖しい笑みを刻んで”礼”を口にするのだった。
「「千鶴が言ったわけじゃねーだろっっ!!!つーか、誰に礼言ってんだよ!!」」
「んー、あえて言うなら”神にも等しきお嬢さん方”かな? というわけで、神の総意なんだし・・・続きいくよ」
「「ちょ、待てって・・・!!っ」」
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”鬼の副長”に容赦なく地上に取り残された天女(?)・総司は、これからどうしたものかと、特に慌てた様子もなく一応考えあぐねていました。
ちょうどいい大きさの岩に腰掛けて橙色に染まる海を眺めながらのんびりと思考に耽っていた総司に、恐る恐るといったように愛らしい声がかけられるのでした。
「あの~、もしかして羽織を・・・お探しじゃないですか?」
「・・・なんで、君が知ってるのかな?っていうか、君は?」
突然現われた少女・・・じゃなく男へ向けた総司の顔には、つい先ほどまでとうって変わって”すごく困っています”というような表情が浮かんでいます。
「・・・あ、怪しい者じゃありませんっっ!!私はこの近くの村に住んでいる千鶴といいます。実は・・・・貴方にお詫びしたくて・・・」
千鶴は慌てた様子で顔の前で手を振りながら、自分の名を告げると申し訳なさそうに瞳を伏せてしまいました。
「ふぅん、千鶴ちゃん、ね。で、”お詫び”って何?」
「はい・・・あの何て言ったら・・・・すいませんでした!!」
言葉を探すように瞳を泳がせていましたが、急に勢いよく頭を下げたかと思うと、千鶴は不安そうな色を浮べた瞳で総司を見上げたのでした。
それは捨てられた子猫のようで見るものに庇護欲を掻き立てるかのようです。
「ねぇ、急に謝られても困るんだけど・・・」
「あ・・・そうですよね、すいません」
再び頭を下げて謝る千鶴の姿に、思わず笑みが漏れてしまいました。
「はははは・・・千鶴ちゃんって可愛いね」
「かっ!!??」
総司の言葉に、今度は勢い良く頭を上げた千鶴の頬は紅く染まっています。
「うん、可愛いよ?」
ダメ押しとばかりにとびっきりの笑顔で告げると、千鶴は恥ずかしいのを隠すように俯いたのでした。
ですが、急に千鶴の肩がピクリと一瞬だけ揺れたかと思うと、身体が固まってしまったかのように立ち尽くしてしまいました。
「千鶴ちゃん?」
「あ・・・」
千鶴の視線を辿っていくと、総司の目にある物が入り込んできました。
「その風呂敷包みがどうかした?」
「・・・・・」
千鶴は意を決したかのように、持っていた風呂敷を広げて浅黄色のボロボロの布切れを総司に差し出したのでした。
「本当にごめんなさい。先ほど浜辺で拾ったんですが・・・その、つい・・・・・手にしたまま家に持ち帰ってしまって・・・私の不注意でこんなことに・・・本当にごめんなさい!!」
再度、頭を下げている千鶴の身体は微かに震えています。
「困ったなぁ・・・・ボロボロになちゃったんじゃ、天(屯所)に帰れないし」
独り言のように呟いた言葉さえも千鶴は敏感に反応して総司を仰ぎ見ます。
その瞳には涙で潤んでいます。
なんとか涙を堪えていた千鶴でしたが、自分が心惹かれたヒトに嫌われてしまうと思うと、我慢が出来なくなったのか留めなく溢れてきます。
「ごめ、ごめんな・・・っ!?」
最後まで謝罪を告げることがないまま言葉を止めてしまいます。
その涙で濡れた瞳は、驚きで大きく見開いています。
「泣かないで・・・」
きっと、斬るよ、とか言いながらものすごく怒られると思っていた千鶴の予想に反して慰めるような柔らかな声色で言葉を掛けられたからです。
総司の指先が優しく千鶴の涙を拭っていきます。
「・・・・怒らないんですか?貴方の大切なものを・・・こんなにしてしまった私のことを・・・」
瞬きすることなく総司の表情を見つめる千鶴には戸惑いの色が濃く現われています。
「君は僕に怒って欲しいの?」
「・・・・はい。だって貴方の大切なものをボロボロにしてしまったのに・・・・何もなく許されちゃいけないと思います・・・」
「千鶴ちゃんは真面目だね。・・・・そっか、じゃぁ責任を取ってもらおうかな」
「・・・・責任?」
「そう、謝るだけなら誰でもできるでしょ?・・・君はどっちを取る?」
見定めるかのように総司の真剣な眼差しが千鶴を貫きます。
それにゴクリと喉を鳴らすと、千鶴は力強い声で答えを告げたのでした。
「もちろん、責任取りますっ!!」
「うん、いい子だね、千鶴ちゃん♪」
その答えに満足そうに弾んだ声をあげると、千鶴を引き寄せて腕の中に閉じ込めてしまいました。
「え・・・・な、ななななななにをっ!?」
「だって”責任”取ってくれるんでしょ♪」
「もちろんです!!で、でもコレがなんの関係が?」
「んー?だって、羽織がこれじゃ僕は天(屯所)に帰れないし、地上に留まるしかないでしょ。でも・・・地上には僕が頼れる場所はどこにもない・・・一人ぼっち」
寂びしそうな総司の呟きに千鶴までが切なくなり、自分の不注意に憤りさえ感じます。
落ち込んだ様子を見せる総司を慰めるように、千鶴は総司のたくましい胸元へと顔を寄せてギュッと自分もまた総司の背へと腕をまわしました。
総司のために自分に出きることなら何でもしてあげたいという想いを抱きながら。
「―――だから、僕を千鶴ちゃんのお嫁さんにしてね」
「はい、もちろんです!!・・・・・・・・・・・・・・え?」
勢いで答えた千鶴でしたが、言葉の意味をそのまま受け取るのなら・・・そういうことなのでしょうが、千鶴はそれが信じられず聞き間違いでは、と総司の顔を凝視します。
「良かったぁ」
「え、え?え?・・・・い、今なんて??」
「ん。僕たちは今から夫婦だよ、家族ってこと」
先ほどまでのしおらしい態度から一変して、総司は晴れやかな笑みを浮べています。
「かぞく・・・?」
「僕が家族じゃ嫌?千鶴ちゃんも僕のこと想ってくれてたんじゃないの?・・・さっき水浴びしてる僕のこと見てたよね?顔を真っ赤にして」
「なっ!!き、気づいて???」
「うん、もちろん。もう一度聞くよ、僕じゃ嫌?」
「~~~っっ、い、嫌・・・じゃ、ないです」
上目遣いでそう告げれば、総司は更に強く千鶴の身体を抱きしめると、すぐにその身体を離して千鶴の紅い顔を見つめます。
「一生、大切にするからね」
本心からの真摯な言葉に千鶴もコクリと頷いたのでした。
いつの間にか、橙色が深い青へと変じ、海や浜辺が夜の闇へと包まれています。
ですが、二人は闇に溶けることなく確かにお互いの姿を瞳に映しています。
どのくらい経った頃か、トサリとした音が響きました。
千鶴の艶やかな黒髪が総司の手によって紐を解かれ、浜辺の砂の上へと散り、総司の背の向こうには夜の帳に飾り付けられた月や星々が輝いていました。
そして、しばし熱い眼差しで見つめあった二人はどちらともなく顔を近づけ――――
月や星々の光が、煌く砂の上に重なり合った二人を静かに照らし続けたのでした。
それから。
天(屯所)から迎えに来ることも無く(というか、来てもコッソリと奥様が追い返していたのですが)、奥様が天(屯所)に帰ることも無く、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
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部屋の中には平助の怒声が轟き、その声は外にまで聞こえるほどだ。
「なにが、”めでたし”だ、ふっざけんなぁあああああああーーーーっっ!!!!」
「おい、総司っ!!俺の知ってる”羽衣伝説”はこんなんじゃねーぞ!!・・・って、それを言うなら最初っからになるがなっ」
そんな二人の抗議に、総司は飄々とした笑みを浮べたまま、何でも無いことのように告げたのだった。
「ん?だってこれ”羽衣ならぬ隊服伝説☆”だもん。千鶴ちゃんと僕が永遠に結ばれるっていう話だし♪」
ちゃんちゃん、お終い。
☆☆後書き☆☆
スイマセン、遅くなったうえに詰め込み過ぎました(汗)
読みづらかったら、ゴメンナサイ。
ともあれ、楽しんでいただければ幸いです。
さて、お礼をば。
投票いただいた皆様、有難うございました!!
お読みいただいた皆様も有難うございます。
投票いただいた皆様につきましては、お礼にならないかもしれませんが、よろしければお持ち帰りくださいませ。