廻るキセキ~後半~
お待たせいたしました。
後半になります。
先に謝っておきます。
短編と言っているわりには長いです(汗)
そして、収集がついていないような・・・(汗)
そしてそして、最初に求めていたものが入れられなかったデス(泣)
というわけで、この転パロ・・・・シリーズになるカモ(大汗)
いや、シリーズといっても、この設定で書きたいネタが3つほどあるってなだけです。
・・・と、まぁ、そんなことはどうでもいいですよね、スイマセン。
では、「読んでみる?」から本文へドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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あれは――――山々が彩を見せ始める秋の頃だったと思う。
確か、僕たちは言葉も無く見守っていたんだったけ。
紅葉がはらはらと舞う中を二人寄り添いながら、ふと消えていく男女の姿を。
消えていく瞬間の二人の表情は柔らかいもので、お互いが愛しくてしょうがなくて、”来世での自分たちの幸せ”に想いを馳せているように見えた。
千鶴ちゃんは二人が消えて居なくなっても暫くの間、二人が居た場所を見つめ続けていて。
そう、だから―――瞳を潤ませながら真摯な瞳で見つめ続ける千鶴ちゃんに僕は聞いたんだ。
そして千鶴ちゃんも、戸惑いながらも答えてくれた。
それから幾つかの言葉を交わした後、僕は言ったんだ。
『―――なら、僕も自信ならあるんだけどな。生まれ変わっても君を見つけ出す自信あるよ。そうだなぁ、例えば僕の記憶が無かったとしてもね』
千鶴ちゃんは羞恥で頬を染めて僕から顔を逸らすと、”からかわないでくださいっ!”なんて言ってさ。
僕はといえば、その可愛すぎる反応が僕を刺激してることにも気づいていない千鶴ちゃんに愛しさが募って、もっと千鶴ちゃんの可愛い反応が見たくて―――――
『からかってなんてないよ。じゃぁ、賭けてみる?』
――――って。
それから、”賭けの約束”のために僕たちは指きりをした。
仄かに頬を紅くしながらも差し出す、千鶴ちゃんの小指に僕の小指を絡ませた。
そして僕と千鶴ちゃんは、お互いの小指を絡ませて”賭け”を成立させた。
『嘘ついたら―――――――のーーまーすー♪♪』
そう”約束”して、絡めていた指を解けば、千鶴ちゃんは僕を凝視していたっけ。
顔から湯気でも出そうなくらい真っ赤にさせて、口をパクパクさせて、ね。
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”昔”のことを思い出しながら―――というか、あの時の千鶴ちゃんの表情を思い出して、微笑とともに小さな声で呟いていた。
「クスッ・・・”賭け”は僕の勝ちだね、千鶴ちゃん」
一旦は顔を上げたと思った僕が再び俯き、ポソリと呟いたのが微かに司会者の男にも聞こえたようだった。
「沖田さん、何か言いました?」
そう僕に聞いてくる司会の男の声には、若干、引いている音が混じっている。
そりゃそうだよねぇ。僕の今の見た目で俯きながら笑ってれば、意味が分からない人から見たら”不気味”の一言だよね。
だって千鶴ちゃんも近藤さんも居なかったから、どうでも良かったからね。
っていうか、他人の相手するのが面倒だったから遠ざけてたんだよね、今思えばさぁ。
でもまぁ、不審に感じているだろうに流石はプロというところかな、そんな様子は微塵も表には出してこない。――――でも、悪いけど、僕の感覚って鋭くなってるから分かっちゃったんだよねぇ。そのぐらいの気配は読めないと、命に関わる世でしたから。
「・・・・いえ、すいません。あの、こんなカッコイイ人達に囲まれて気後れしちゃって」
一瞬の間に思考を繰り広げた僕は、さっきまでの気後れしています、という雰囲気を崩さずにいることにした。おまけして、たどたどしい口調で答えるっていうオプションもつけてみる。
「あぁ。そうですよね、本当に素敵な人達ばかりで僕も驚いたくらいですからね。そこらへんの芸能人よりも煌びやかな人たちが揃ってますからね、女の子達は嬉しいんじゃないですかねぇ~」
僕の態度とその言葉で納得したのか、司会の男は僕の言葉に、うんうんと首を縦に動かしながら頷き返した。僕もそれに頷きを返す。勿論、意図があってのこと。
「そうですね。特に土方さんは”イケメン”さんですよね」
そう笑顔で司会の男に答えた僕は、一瞬だけ言葉を止めて土方さんへと眼鏡越しに視線を向ける。
「・・・・でも以外ですよね、こちらの土方さんも俳句が趣味なんて」
「っっっ!!??」
何気なさを装ってその言葉を口にした僕に、土方さんは驚いたように目を見開いて僕を凝視した。
俳句のことを口にした僕に対して土方さんの表情には、何で知ってる?、とありありと浮かんでいる。
まぁ、僕のことを、昔馴染みの『沖田 総司』だと思っていないようだから当たり前か。
「あ、すいません。実は、ついさっき、このメモ帳を拾いまして・・・・拾い上げた拍子に中身が見えてしまったんです」
「なっ・・・・・それっっ!!」
声を荒げそうになったけれど、土方さんはハッとしたように押し黙ってしまった。
土方さんの良く知る『僕』なら遠慮なく怒鳴るんだろうけど、今は違うもんね。
怒鳴りたくても怒鳴れない、そんな心境に口端を噛み締めてグッと押させているみたい。
そのせいか眉間にも深く皺が刻まれている。
他の皆も『僕』という存在を図りかねているみたいだ。
だって、一度は僕を『新選組の沖田総司ではない』って結論付けちゃってたみたいだしね。
そんな皆の様子に僕といえば楽しくてしょうがない。
「現代の”豊玉発句集”でも出してみたらいかがですか?」
トコトコと歩みを進めて司会者の元に用意されていたパネルを手に取った僕は、しおらしい態度のまま土方さんへとそのパネルを向ける。そのパネルには、”豊玉発句集”の中から抜粋した幾つかの句が書かれていた。
「昔のものはこんなに有名になって、皆知ってるんですから隠すことないですよ」
「おまっっ!!??」
あはははは、迷ってる迷ってる。
僕を『沖田 総司』かもと思いつつも断定できない、と。
だってわざと微妙な言い回しにしてるんだから当たり前ですよー、土方さん♪
「あれ?ハチさん、どうかしたんですか?」
「いや・・・・”ハチ”とはなんだ?」
難しい顔をして僕を見ていた――僕の手の中にある土方さんの手帳を見てたんだよね。うん、分かってる。―― 一君は、聞きなれない呼び名に一君は目を瞬かせて僕を見ながら、低い声でその聞きなれない名を呟いた。
「あの駄目でしたか?親しみを込めて、あだ名を付けてみたんですけど」
弱弱しい声で言えば、いや、別に・・・、と満更でもない様子を見せる。
本当に一君ってたまに天然だよね。”ポチ”のときといい、本当に面白い反応してくれるよね。
土方さんの怒りっぷりと一君の天然ぶりが面白くて気を良くしていた僕の視界の端に、なにやらコソコソと相槌をうちながら話してる三人の姿がふと映った。
もしかして、この三人は傍観組みだから気づいたのかな?
「おい、”ハチ”って、あの”ハチ”のことじゃねーか?」
「おぅ佐之、奇遇だな、俺もちょうどその”ハチ”を想像してたぜ」
「右に同じく、っていうかさぁ、的を得すぎじゃねぇ?」
・・・・っていうか、ソッチ?一君の”ハチ”の方に反応しちゃったんだ?
本当にさ、”三馬鹿”て呼ばれるだけはあるよね。
佐之さんまでが”ハチ”に意識がいっちゃってるのはビックリだけど。
まぁ、いいか。とりあえず三人の話に乗ってみよう。
「だよねぇ~・・・・一君にピッタリだよね、”ハチ”ってあだ名」
「「「っっ!!??」」」
背後から声をかければ、三人はビクリと身体を固くしてしまった。
離れた場所に居ると思っていた僕の声が間近で聞こえてきたから驚いたんだろう。
「なっ、なんで!?ていうか・・・・っ!?」
急に背後に立っていた僕に驚いたのか、平助と新八さんは目と口を開いてアホ面を晒しながら僕を凝視していたけど、佐之さんだけは探るような視線を僕に向けていた。
気づいた、かな?
「あぁ、なんか面白そうな話を皆さんされていたんで、こっちに来ちゃいました♪」
とりあえず佐之さんの視線に気づいていないふりして、僕は無邪気な声で平助の問いに答えることにする。
「”来ちゃいました♪”って・・・・それよりお前、今気配無かったよな?」
口端を吊り上げてニッコリと笑って僕はスタジオ中を見渡した。
「そんなことより皆、土方さんの俳句を見てみたいよね?特に一君は土方さんの俳句を読んでみたいんじゃないの?皆も気にならない?”今”の土方さんがどんな句を読んでるか興味があるんじゃない?ねぇ、佐之さん、新八さん、平助。近藤さんも気になりますよね?」
ニッコリをニヤリの笑みに変えた僕は、昔と同じ呼び方で皆の名前を口にする。
皆は咄嗟には言葉にならなかったのか、一瞬の静寂が包んだ。
たった一人だけ反応したのは、もちろん優しくて、人望も厚い人だけだった。
「そうだなぁ、確かに気に・・・・」
けど、近藤さんが同意をしてくれようとしたのと同時に皆の大声がスタジオ中に響いた。
「てめーーー、やっぱり”総司”だなぁああああ!!!」
「「「「”総司”かっっ!!!!!」」」」
あぁもう、本当に面白いなぁ。皆、昔と変わらないんだから。
けど、近藤さんの言葉を遮るのは許せないかなぁ・・・・後で覚えてなよ?
「何言ってるわけ、皆?”沖田総司”だからココに居るんだけど?」
肩を竦めてわざと呆れた様子で言い放つと、分かるわけないだろ、と皆は次々に言い募り始めた。
「てめーは、いつもいつも、ふざけんのもいい加減にしろよ!!」
「そーだ、分かるわけないだろっっ!!最初んときと雰囲気が全然違うじゃんかっ!!な、佐之さん、新八っつぁん!!」
「平助の言うとおり、だぜ。どうしちまったんだよ、総司!?第一、眼鏡なんかしてるから顔が分からないだろーがよっ!!」
「おぉ、そうだぜ。そもそも総司が、そんなにきっちりと制服を着ていることからして違和感だなんだよ、んなネクタイも斎藤みたいにきっちり締めてるしな」
「・・・佐之、ネクタイをきちんと締めるのは悪いことじゃないと思うが・・・だが、総司が何もせずに大人しくしているわけがないな」
好き放題言っちゃってくれてる皆に対して流石の僕も少しムッときているときだった。
「あのー、皆さんはお知り合い、だったんですか?」
僕たちのやり取りが一段落着いたと踏んだのか、司会の男はこのチャンスを逃すまいと口を挟んできたようだ。
初対面であるはずの僕たちが旧知の仲に見えることに疑問でいっぱいになっているだろうこの場にいる全員の代表としての質問でもあるんだと思う。
「まぁ、そんなものです。あと一人、欠かせない子がいますケド」
「欠かせない?」
「そう。”新選組”にとって―――僕たちにとって欠かせない子ですよ」
僕がそう口にすると、皆も表情を引き締めて頷いている。
司会の男たちにとってはまた疑問が増えたようなものだと思うけどね。
歴史上では一文字たりとも名前は出てはこないんだから、知るわけがない。
でも紛れもなく”新選組”の屯所で一緒に暮らしていた、大切な子。
僕は観覧席へと顔を向ける。
――――ねぇ、この僕たちのやり取りを見て、君も何か感じてくれてるかな?
僕の行動に、土方さんたちさえ意味が分からなかったようで眉を顰めながらも僕の次の行動を伺うことにしたようだ。
「ね、千鶴ちゃん?」
昔、あの『賭け』をしたときと同じように目を細めて悪戯っぽい笑みを浮べた僕は、ただ愛しいその名を呼ぶ。皆はというと、千鶴ちゃんがこの場に居ることに気づいていなかったのか、驚いたように僕が見つめている方向へと視線を走らせた。
「え、え?・・・・わ、たし??」
いきなり自分の名前を呼ばれたうえに僕たちの視線を集中的に受けた千鶴ちゃんは、自分で自分を指差して左右に首をふって辺りを確認しながら、戸惑った様子で愛らしい声をあげた。
その様子から見て記憶はないんだね、さっきの僕たちを見ても何も感じてなかった?
「そうだよ・・・君しかいないでしょ、雪村千鶴ちゃん」
僕は眼鏡を外して千鶴ちゃんをジッと熱い視線で見つめると、肯定の言葉とともに千鶴ちゃんの名を殊更に甘く呼んだ。
千鶴ちゃんが息をのむのと同時に、スタジオ内からもどよめきの声があがっていた。
でも僕はそれを無視して、困ったようにしながらも頬を仄かに赤く染めている千鶴ちゃんだけを見つめた。
「え、えと・・・・」
周囲の人間が突然のことで動けなくなっているのをいいことに、千鶴ちゃんのいる席へと歩みを進めながら言葉を続ける。
「ねぇ”賭け”は僕の勝ちだよ。僕は記憶が無くても君を見つけた」
一番端の通路側に座っていた千鶴ちゃんの元に行くと、目線を合わせるように僕も膝を着いた。
「あっ・・・」
見つめたまま、そっと千鶴ちゃんの白い手へと触れる。
「君は僕を覚えている?」
「あの・・・・どこかで?」
「僕は、君を見つけた瞬間、すべてを思い出した―――千鶴ちゃんのためなら僕は”キセキ”だって手繰り寄せてみせるよ」
ほらね、”賭け”は僕の勝ち。僕の君への想いは何よりも勝るんだよ。
「な、何を言ってるんですか、からかわないでください!!」
覚えてはいなくても、頬を染めて昔とまるっきり同じ反応を示す千鶴ちゃんに、僕の中でますます愛しさが募っていく。
「からかってなんかないってば。だって僕たち”賭け”をしたし、こうして”約束”もした」
「やく、そく?」
千鶴ちゃんの右手を持ち上げて小指だけを立てると、そこに僕の小指を絡ませる。
「ね、ちゃんとこうやって”約束”したんだよ?それなのに、君は約束をやぶるの?嘘つくの?」
「そ・・・そんな、私は・・・・」
「でも、僕が思い出したのに、君を見つけたのに、千鶴ちゃんは・・・・。だから”嘘”ついた君には”約束”どおり、千回のんで貰わないとね」
「え・・・針を、ですか?」
覚えていないはずの千鶴ちゃんが”約束”を律儀に守ろうとして不安そうに表情を揺らめかす、その純粋さに微かな笑みを僕はこぼした。
「クスっ・・・違うよ、針じゃなくて――――」
小指を絡めたままの状態で僕は身を乗り出すと、千鶴ちゃんの艶やかなピンク色の唇に僕の唇を重ね合わせる。
「っ!!」
遠くから怒りの感情が込められている幾つかの声が微かに聞こえたけど今は無視して、千鶴ちゃんの柔らかくていつまでも触れさせていたいような感触を堪能する。
そして名残惜しく感じながらも唇を離した僕は、悪戯っぽい笑みを浮かべて囁いた。
「嘘ついたら”愛千回のます”ってね、あと999回、僕の愛をのんでもらうからね♪」
そう告げれば、僕を凝視している千鶴ちゃんは、顔から湯気でも出そうなくらい真っ赤にして口をパクパクさせていた。――――昔と同じように。
<終わり>
★★後書き★★
な、長いっっ!!
・・・・こんな長いものを、お疲れ様でした。
ダラダラと申し訳ありません。
収集がついていない感もありまくりで申し訳ない。
(楽しんでいただけていればいいのですが・・・)
しかも書きたいことが全部書けていないという・・・(汗)
●昔のエピソードを書きたいです!
●その後の沖x千が書きたいです!!
●スタジオ内での出来事の他人目線を書きたいです!!!
もっと、第三者の驚きっぷりとかが書きたいんだよぉぉ!!
見ている間の千鶴の様子もリポートしてほしんだよぉ!!!
・・・ちっ、沖田目線にして失敗したぜっっ(ボソっ)
では、ここまでお読みいただき有難うございました!!