<1万HIT♪お礼SS> 君だけの僕
改めまして1万HITありがとうございます♪♪
このような辺境の地まで遊びに来てくださる皆様に感謝です!!
というわけで、1万HIT!突発☆SSでございます。
このSSのキーワード(笑)は、
SSL/沖x千/執事/文化祭
・・・となっております。
大丈夫ですか?
では、「読んでみる?」から本文へドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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ある10月の放課後―――
秋晴れの青空の下に響き渡る喧騒の中を淡い桜色の携帯を手にした一人の少女が駆けて行く姿があった。
教室を出て部室棟へと向っている少女の息は軽くあがっている。
少女が在籍する1年の教室がある棟とは反対側に部室棟が位置しているうえに、忙しく動き回る人々や障害物を避けて進んでいるため余計な体力まで使っているからだろう。
現在は普段なら普通に通れる場所も荷物や道具が置かれていたりとしているために遠回りをしなくてはいけない状態となっていた。
なぜ、少女がこんなに息を軽く切らしながらも部室棟へ向っているかといえば、HR終了直後に入った一件のメールが理由だった。
『今日、部活のミーティングがあるの忘れていないよね?』
――と、いうものだった。
そのメールを見た瞬間、少女は焦りで体温が一気に上がったような気がした。
ミーティングがあるなんて、これっぽちも覚えていなかったからだ。
というか、普通に部活は休みだと思っていたのだ。
少女がそう思うのも当然だろう。
この学園では現在、文化祭を数日後に控えているため準備で大忙しの状態となっていたからだ。教師も生徒も忙しく動き回っており、文化祭の荷物や道具がそこら辺りに散らばっている。
そして、運動部はこの時期は基本的には休みになるのだ。
そう基本的には。
少女がマネージャーを務める剣道部も当然のごとく休みのはずだった。
そんなわけで、近くにいたクラスメイトに少しの間だけ準備から抜けることを謝った少女は、剣道部の部室へと急いで向かうことになった、という具合だ。
そして部室棟まで来れば、そこだけが別世界のような静寂に包まれていた。
準備で賑わっていた校舎からは少し離れた場所にあるためだろう。
少女は扉の前で立ち止まると、深呼吸をして息を整える。
何とか心臓を落ち着かせてドアノブへと手を伸ばし、ガチャリと扉を開く。
「すいません、遅れまし・・・・・」
「おかえりないさませ、お嬢様v」
「・・・・・・・・・・・!?」
扉を開け放った向こう側は何時もと違う様相をしていた。
少女が毎週片付けたり整理しているとはいっても雑然としていた部室が、純白のレースのカーテンなどで覆い隠されて綺麗に装飾されいる。
清潔で優雅な空間を創り出していた。
それだけでも驚きだというのに、少女の目の前にはもう一つ信じられない姿があった。
「どうかなさいましたか、千鶴お嬢様?」
普段、堅苦しいのが嫌いでゆったりと制服や剣道着を纏っているというのに、今は黒い燕尾服をきっちりと綺麗に着こなして優雅なお辞儀でもって少女・千鶴を出迎えている。そのうえ、その人物の口調は柔らかく丁寧なものだ。
だが、顔を上げた男の表情だけは常と同じ悪戯っぽい笑みが刻まれていて、それは千鶴が良く知る剣道部の先輩のものだった。
「あの・・・・沖田先輩、これは?」
「ダメ、だよ」
「はい?」
状況が飲み込めない千鶴は、困ったように眉を下げて沖田へと視線を向けて尋ねたが、返ってきたのは意味不明なものだった。
ますます千鶴の頭には?マークが増殖していく。
「今の僕は千鶴お嬢様の執事なんだから、”総司”って呼んでくれないと♪♪」
「あ、すいませ・・・・・っっ!?沖田先輩、今何て言いました!?」
声を弾ませて楽しそうに告げる沖田に根が素直な千鶴は謝ってしまいそうになったが、その言葉の意味が頭にまでしっかり伝わってくると、それが信じられずに驚きで大きな声をあげていた。
「・・・・・・・・」
「沖田先ぱ・・・っっ!??」
だが、沖田は先ほどまでの悪戯っぽい笑みを涼やかな笑みに変えて背筋を伸ばして立ったままで千鶴の問いかけには答えようとはしない。
もう一度、沖田の名を呼ぼうとした千鶴の桜色の唇に、白い手袋に包まれた沖田の人差し指が当てられる。
「違いますよ、千鶴お嬢様?いつも千鶴お嬢様は僕のことを”総司”と呼ばれていたでしょう?なぜ、今日は”総司”とお呼びになってくれないんですか?」
「っっ??////(何、今日の沖田先輩、なんか・・・え、あれ!?)」
つまりは沖田の中ではそういう設定になっているようで、切なげに眉を寄せて千鶴を見つめ、いつもとは違った色っぽさを魅せつけた。
そんな沖田に、千鶴は顔を真っ赤に染め上げて目をグルグル回しながら混乱に陥っている。
沖田は千鶴に気づかれないほどの小さな笑みを微かに漏らすと、混乱に陥っている千鶴の手を取って親愛の証とばかりに手の甲へと口付けた。
男性のそんな風な行為に慣れていない純粋な少女には、ある意味酷な仕打ちかもしれない・・・。
「千鶴お嬢様・・・さぁ、いつものように”総司”・・・と」
沖田が言葉を紡ぐたびに、その吐息が千鶴の白く滑らかな手の甲へとかかり、千鶴は目をギュッと堅く瞑る。
「そ・・・・そ、総司・・・さん?」
沖田の性格からいって絶対に引かないであろうことを本能的に悟っていた千鶴は覚悟を決めると、顔から火が出る思いで沖田の名を口にした。
「(クス・・・千鶴ちゃんにはそれが限界、かな?)・・・はい、千鶴お嬢様。さぁ、こちらへどうぞ」
そう言うと、千鶴の手を優しく引いてテーブルへとエスコートして椅子へと座らせた。
そしてティーポットとカップを用意すると、慣れた手つきで紅茶を淹れていく。
その洗練された姿に千鶴は思わず見蕩れてしまう。
「おき・・・そう、じ、さんは、紅茶がお好きなんですか?」
「いえ、特には。何故ですか?」
「あの、手つきが慣れているので・・・・」
「あぁ、ここ数日で山南さんに特訓を強いられたんですよ。僕も千鶴お嬢様だけのためならやってもいいかな、と思いまして」
「え?わ、たし、の?」
千鶴は軽く目を見開くと、自分の隣に立って紅茶を淹れていた沖田の横顔へと視線を留めた。それに気づいた沖田はふわりと千鶴へ笑みを返す。
「どうぞ、千鶴お嬢様。緊張で固まった千鶴お嬢様の身体も解れますよ」
何時もとは違う沖田の口調、所作に千鶴はドギマギしながら紅茶のカップを手に取った。暖かな湯気が千鶴へと紅茶の優しい香を伝えている。
カップへ口付けて一口、コクリと飲んでみれば紅茶の温かさが身体の中に染み渡っていき、沖田の言葉どおり身体が弛緩していく。
「・・・・おいしい」
千鶴は紅茶の温かさにホッと息を吐くと、再び隣へと顔を向けて沖田を見上げて微笑を浮べた。
「喜んでいただけましたか?」
「はい、もちろんです。とても美味しくて、また飲みたいくらいです」
「そうじゃなくて」
「え?」
言葉の意味が分からず瞳をパチパチと瞬かせる千鶴から視線を外さないまま、沖田は緑色のタイをその長い指先でクイッと解いて襟元を緩めると、いつもの意地の悪い笑みを口元に刻んだ。
そして千鶴の耳元に口元を寄せて、その言葉を千鶴の鼓膜へと刻み込むように甘く掠れた声でゆっくりと囁いた。
「千鶴お嬢様の、執事である、僕、のことだよ」
「~~っぅ!!!///」
再び頬を紅く染め上げた千鶴は、反射的に上半身を捻って耳元を押さえた。
「ちょッッ、千鶴ちゃんっっ!!」
「へっ・・・・?」
羞恥でパニックに陥った千鶴が、沖田から身体を離そうと身体を思いっきり後ろへと引いたのと同時に沖田の慌てたような声が響いた。
身体を捻っていた千鶴の上半身は、勢いがつきすぎたせいで後ろ側へと重心が傾き、背もたれのない背後へと千鶴は椅子ごと倒れそうになってしまっていたのだ。
「・・・・はぁ・・・本当にソソッカシイんだから、僕の千鶴お嬢様は」
「す、すいません、沖田先輩」
沖田は咄嗟に千鶴の腕を掴んで自分の方へと引いて抱き込むことで、椅子ごと倒れこむのを阻止すると、ホッとしたように呟いた。
「・・・ほら、”沖田先輩”に戻ってるよ」
「あ、えと・・・・」
「まぁ、いいけどね。千鶴お嬢様でも、後輩の千鶴ちゃんでも―――僕が守ってあげたいお嬢様も、後輩の女の子も、一人だけだしね」
「あの、沖田先輩?」
沖田の胸の辺りに手をついて身体を少しだけ離した千鶴は、不思議そうな表情を浮べて沖田を見上げる
「ね、分かってる?僕がここまでするのは、千鶴ちゃんだけ、なんだからね」
沖田は再び自分の胸の中に千鶴をギュッと抱き込むと、それはそれは愛しげな声で囁いた。
『どんな僕も君だけのものなんだから―――』
<END>
★♪後書き♪★
1万HIT!!有難うございます♪♪
思いつき突発SSでございました。
今回は、王道萌えを自分なりに詰め込んでみました。
SSL設定・沖x千で、文化祭、執事、甘々!!みたいな(笑)
では、お読みいただき有難うございました。