After Sweets?~逆チョコ大作戦!?総司編・その後~
・・・っていうか、約二日遅れだよ。。。。
今回は、オフでだした「逆チョコ大作戦!?」の総司編のラスト直後のお話となっています。
なんで、色々と意味不明かもしれません。
そうそう、「逆チョコ大作戦!?」をお買い上げいただいた方に向けての特典SSをホワイトデーにアップしようかなぁーと、思ってますので、よろしければホワイトデーSSをお待ちいただけたら嬉しいですvv
ではでは、意味不明だったり遅いバレンタインSSでもOK!って方は、「読んでみる?」からドウゾ!!
▼読んでみる?▼
***********
「・・・・・・」
白い湯気が立ち上るカップを載せたトレーを手にしている僕の目に映り込んだのは、ローテーブルの前でちょこんと俯きながら正座している千鶴ちゃんの姿だった。
「・・・・ねぇ、まだご機嫌ナナメのままなのかな?」
トレーを持ったまま見下ろした先には、口元を固く結び、ぷくりと風船のように両頬を含まらせながら膝上のスカートをギュッと握っている千鶴ちゃんの姿。
千鶴ちゃんが可愛すぎてつい苛め・・・じゃなくて構いすぎたせいで、僕は彼女のご機嫌を損ねてしまっていた。・・・・うーん、やっぱりちょっとやり過ぎちゃったかなぁ?
確かに少し千鶴ちゃんにはちょっと過激だったかもね。
まぁだから、お詫びも兼ねて千鶴ちゃんの心が解れるような暖かくて甘い飲み物を淹れにキッチンに行ってたんだけど。―――元々の【計画】を実行するチャンス!だった、とも言うんだけどね。
でも、僕がキッチンで格闘してたソコソコの時間じゃ、千鶴ちゃんの機嫌を直す時間には足りなかったみたいだ。
とりあえずドアを閉めて、テーブルへと向う。それは千鶴ちゃんの傍へと近づいていくことでもあって。近づいてくる気配を感じているはずなのに顔を上げようとはしてくれない。
まぁ、扉の音に肩をピクリと反応させたり、僕の影がテーブルに映り込んだ瞬間にスカートを握る手が強められたり・・・・千鶴ちゃんの仕草からその感情はタダ漏れなんだけどね。
だからさ、僕も本当は分かってるよ?
千鶴ちゃん本人は頑張って顔を顰めて怒ってるつもりなんだろうけど、実は恥ずかしがってるだけってこと。
そんな千鶴ちゃんの姿は可愛いの一言に尽きちゃうんだよね。―――だからさ、そういう態度は僕を煽るだけでもっと困らせたくなっちゃうよ?
ホント【オトコゴコロ】ってものを分かってないよね、千鶴ちゃんって。
「―――はい。これでも飲んで機嫌直して?」
千鶴ちゃんが俯いているのをいいことにニヤリとした意地の悪い笑みを口元に刻みながら声だけは哀しげな懇願するような色を含ませた僕は、千鶴ちゃんとはテーブルを挟んだ向かい側に腰を下ろす。
膝を床につけて、トレーをテーブルの上に置く音、カップをトレーからテーブルへと移し置く音、動く度に響く衣擦れの音―――。
「っ!・・・・」
日常の何気ない音のすべてが緊張を孕んだ静かな部屋では、いつも以上に大きく聞こえて特別な意味を持っているような気さえしてくるんじゃないかな。
音をたてる度に千鶴ちゃんの身体は面白いくらいにピクリと反応を見せてくれるし。
千鶴ちゃんが反応すればするほどに僕の口元や目は弧を描いて笑みが深くなっていくんだ。
・・・・・心が震えるって、こんな感じなのかな?
なんていうか、ネズミを追い詰めるネコみたいな心境に似てるっていうか、こう嗜虐心がムクムクと―――もっと追い詰めたくなってくるっていうか?
だって、千鶴ちゃんの心を占めているのは僕だと実感できるから。
もっともっと僕でいっぱいにしたくて、他の誰も入り込む余地がないくらいに、僕で―――。
「・・・これじゃ、足りないんだ」
「ぇ・・・?」
不思議そうな表情をした千鶴ちゃんの黒真珠の瞳がチラリとだけ僕を見る。
僕が何て言ったのか聞き取れなかったのか、キョトンとした表情をしてる。
お互いの視線が交わるけど、千鶴ちゃんはすぐに視線を逸らして俯いてしまった。
「はぁ・・・・」
だから僕も千鶴ちゃんがどんな反応するかなんて分かりきっているうえで、わざとらしいほどに肩を揺らして盛大な溜息を吐く。
「ぁっ・・・・!!」
そうすれば、千鶴ちゃんが僕の溜息に今まで以上に身体を揺らして反応して僕を仰ぎ見ることなんて予想済み。僅かに水滴を含んで煌く黒い瞳も、ね。
トクントクンと僕の心臓がリズムを刻み始める。
大好きな千鶴ちゃんにそんな表情をさせてしまってるのに、その瞳に僕だけを映してくれることが嬉しい。
だってさ、その表情は他の誰でもなく僕を想っての表情なんだ。
笑顔も、怒り顔も、泣き顔も、困惑顔も、それ以外のすべての表情も。
―――そして、僕だけが艶っぽくて可愛らしい表情に変えることができるって、たまらなくイイと思わない?
「・・・・どうしたの、千鶴ちゃん?」
「私・・・・また・・・・」
油断でもしたら漏れ出そうになる笑みを抑え込んで、驚いたように千鶴ちゃんへと視線を向ける。
僕たちの瞳がかち合い、千鶴ちゃんは僅かに躊躇するような素振りをして黙り込んでしまう。
「大丈夫だから落ち着いて?」
千鶴ちゃんの頭をふわりと撫でると、千鶴ちゃんの長い睫が震えてそっと瞼が閉じられる。
段々と呼吸が僕の撫でる手のリズムに重なっていく。
「・・・はい。・・・・ごめんなさい・・・」
「なんで謝るの?」
「だって、私・・・また先輩のこと・・・・傷つけちゃいました・・・・恥ずかしかっただけだったのに・・・」
千鶴ちゃんの手が弱々しい力で僕の腕をキュっと握る。
ホント、千鶴ちゃんらしいよね。
僕のこと傷つけた、って思っちゃうなんてさ。
だから僕はドンドン図に乗っちゃうんだよ?
「うん、分かってるから大丈夫だよ」
「沖田せんぱい・・・」
そんな内心は隠したままの僕の穏やかな声に騙されて、千鶴ちゃんの表情がホッとしたように緩む。
「――ねぇ千鶴ちゃん、これ開けてもいいよね?」
さらに千鶴ちゃんの緊張を解くような声で聞く僕の手にあるのは、千鶴ちゃんが僕にくれた【本命】チョコ。
「は、はい・・・」
千鶴ちゃんの返事を待ってから、ピンク色のリボンに手を掛けて解き始める。
スルリとリボンを解いた次は、キラキラとした赤地の包装紙へと手を掛ける。
赤地の包装紙には金色の蔦が絡まってハート象っていて、こんな風に千鶴ちゃんのハートと僕のハートが絡まり合えばいいのに、なんて想いながらゆっくりと丁寧に剥いでいく。
まるで千鶴ちゃんの服を一枚一枚脱がせるかのように―――千鶴ちゃんの黒く大きな目を見つめたまま。
「っっ!!」
千鶴ちゃんの肌を撫でるように指先を滑らせて包装紙を剥いでいく僕の様を目にして、千鶴ちゃんが呼吸が変わっていく。
「―――どうしたの、千鶴ちゃん?」
頬を朱に染めて瞬きすることを忘れてかのように見開いている千鶴ちゃんから目を離さずに薄く微笑みを刻む。
「っぁ・・・い、いえ・・・・」
チロリと瞳を逸らせて身体をソワソワとしだす千鶴ちゃんの姿に、僕は舌なめずりして嗜虐的な笑みを浮かべてしまう。
「くす・・・もしかして自分が脱がされてる、みたい?」
「はぇっっ!!??」
「千鶴ちゃんのご期待に応えてあげようか?」
「わ、私の・・・期待?」
「そう―――例えばさっきの続き、とか?」
「さ、さっき・・・・?」
「うん。ついさっきのことだから・・・・千鶴ちゃんも覚えてるでしょう?」
包装紙に添えている手を、千鶴ちゃんの頬へと移動させてその柔らかな感触に満足しながら、すぅーと指先を滑らせていく。
一瞬にしてさっきと同じような淫靡な空気を纏わせる。
「あ、あぁあああのっっ!!!チョ、チョコ、レぇート!!」
ギュッと目も身体も緊張で固くした千鶴ちゃんがあらん限りの大声を裏返しながら叫ぶ。
刹那の沈黙が二人の間に落ちて―――
「・・・・・ぷっ」
「へ?あ、あの・・・お沖田せんぱい??」
「あはははは、千鶴ちゃんサイコー!!」
千鶴ちゃんの反応が面白すぎたせいで僕は思わず大笑いしちゃって、せっかく作り出した空気は霧散してしまった。
当の千鶴ちゃんは困惑顔でうろたえているんだけど、それがまた可愛くて笑えてくる。
「ごめん、ごめん。からかい過ぎちゃったかな?」
「か?か、からかったんですか?」
「うん、だって、可愛い反応する千鶴ちゃんがいけないんだよ?」
「も、もう、沖田先輩っっ!!」
あぁ、またほっぺ膨れさせて。そんな風にしても可愛いだけなのにね。
未だに自分が僕にどんな衝動を与えているのか分かっていない千鶴ちゃんに苦笑を漏らしてしまう。
「・・・まぁ、かなり本気だった、んだけ・・・・」
ポソリと千鶴ちゃんには聞こえないほどの呟きをそっと漏らした僕は、再び包装紙に手を掛けて残りを綺麗に剥いでいく。
千鶴ちゃんが僕を想って作ってくれたチョコレートが姿を現したとたんに、僕は言葉を失ってしまった。
そして、手の中にあるチョコレートから目を離せなくなる。
チョコレートの茶ネコと、ホワイトチョコの白ネコがキスしてるそれは―――
「・・・・・あ、あの沖田先輩?気に入りませんでしたか?」
何も言わないままチョコレートを凝視して黙り込んでしまった僕に千鶴ちゃんの不安気な声が掛けられる。
ハッとして顔を上げれば、千鶴ちゃんの憂いを滲ませた瞳が僕を見つめていた。
「ねぇ千鶴ちゃん・・・・これって・・・・僕が贈ったチョコのマスコットと同じ、だよね?」
「は、はい。・・・・・私の頭からもこの子たちが離れなかったんです・・・・」
「離れなかった?」
千鶴ちゃんの座っている傍らでラブラブな空気を放っている二匹のネコのマスコットに視線を這わせて問いかけると、千鶴ちゃんは恥ずかしそうにポツリポツリと口を開き始める。
「さっきも言いましたが、何度チョコレートを作り直しても私が作るチョコレートは同じだったんです・・・・あのとき、この子たちに惹かれたのは私好みの可愛いモチーフだったから、って思ってました」
「思ってたってどういうこと?あのとき、僕もこれを見た瞬間に千鶴ちゃん好みだな、って思ったから手に取ろうとしたんだよ」
「はい、確かに私好みです。でも、それだけじゃないんです―――」
いったん言葉を切って、深呼吸をしてから僕を見上げる千鶴ちゃんの瞳には、強い意志が宿ってるように見えた。
「この子たちの幸せそうな姿を見た瞬間、無意識に自分と・・・・・・沖田先輩を重ねていたんです。茶ネコちゃんが沖田先輩の雰囲気が沖田先輩に似てるような気がして―――この子たちみたくなれたらいいのに、って」
「茶ネコが僕ってことは・・・・この白ネコは千鶴ちゃんの分身なんだ?」
手元に視線を戻せば、幸せいっぱいに口づけを交わす二匹のネコのチョコレート。
「っっ・・・・・はい」
ギュッと目を瞑って顔を赤くする千鶴ちゃんと手元のチョコレートを何度か交互に見た僕の口元には自然と弧を描き始める。
何度作っても同じチョコレートで、それは僕たちを重ねて見た恋人同士のネコのモチーフ、ね。
「―――ねぇ、千鶴ちゃん。ひとつ、お願いしてもいい?」
「な、なんですか?」
「コレ飲んで?せっかく淹れてきたのに冷めちゃうしさ」
「へ?」
唐突な僕の言葉に千鶴ちゃんは呆けた声を漏らす。
まぁ、普通はなんの脈絡もないように感じるよねぇ。
「千鶴ちゃんのために淹れてきたんだよ。これは僕からの―――」
チョコレートをテーブルの上へとそっと置いて、代わりにカップへと手を伸ばす。
手に取ったカップを口元へと運んでコクリとその液体を口の中へ流し込めば、口いっぱいに甘さが広がっていく。
「沖田せんぱい?」
思考がついてこなくて呆けている千鶴ちゃんを視界に留めながら、テーブル越しに身体を前のめりにする。
「んぁっ・・・・」
僕と千鶴ちゃんの唇が重なって、暖かくて甘い液体は僕の口から千鶴ちゃんの口の中へと流れていく。
千鶴ちゃんの喉がコクリと鳴ったのを合図にして唇を離す。
「・・・・どう、美味しい?・・・・僕の特製のホットチョコレート」
「・・・な、なにをっっ!!??」
「ん?僕からのバレンタインチョコのプレゼントだよ」
「バレンタインチョコ?で、でも、もう貰ってますよ、わたし・・・」
「でもさ、僕が直接渡せたわけじゃなかったでしょ?だから、ちゃんと僕から渡したかったからホットチョコレートも用意してみたんだ・・・・僕特製のホットチョコレートは口に合わない?」
「っっ!!・・・ず、ずるいです!!合わないわけないの、知ってるクセにぃ・・・・」
「うん、きっと気に入ってくれる、っていう確信はあったよ?」
「やっぱり、沖田先輩はズルイです・・・」
湯気でもでそうなくらいに顔を真っ赤にしている千鶴ちゃんに視線を合わせたまま、緩慢な動きで再びカップを口元に運んでいって―――
「くすくす・・・・・ねぇ、おかわりは・・・・どうする?」
熱の籠った瞳を向けながら意地の悪い質問を向ける。
「っっ・・・・・欲しい、で・・・・んんっ・・・・」
羞恥に目元を染めた千鶴ちゃんが答えを言い終わる前に、唇を合わせてホットチョコレートを流し込んでいく。
僕と千鶴ちゃん特製のホットチョコレートが呑み込まれた音が鳴っても、唇は触れ合わせたまま口の中に残ったホットチョコレートの甘さを堪能し続ける。
そんな僕たちの重なった影がテーブルの上に落ちて―――僕たちの分身のチョコネコと重なった。
<END>
★☆後書き☆★
約二日遅れスイマセン(大汗)
そして何時もの如く意味不明でスイマセン。
特に「逆チョコ~」を読んでいない方にはサッパリな感じで申し訳ないです。
少しでも楽しんでいただければいいのですが。。。
では、ここまでお読みいただき有難うございました!!