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色素を失った白髪、血のように紅い瞳。
理性もなにもなく本能に忠実となって”欲”を求める姿。
今の僕たちは第三者が見れば、完全なる”化け物”だろう。

互いの汗ばんだ肌を重ねて首筋に唇を押し当てる僕たちの身体には紅や白濁の液体で濡れている。
どんなに重ねても潤うことない欲望。
満たされた瞬間にそれは枯渇して何度でも求める。

この耳を震わせるのは、荒く乱れた吐息だけ。
この瞳に映るものは、快楽に彩れた表情だけ。
この身体に感じるものは、熱いほどに火照る身体だけ。

他には何もない、何も。
この闇にあるものは僕と千鶴ちゃんの二人だけ。


すべてを忘れてしまえば楽なのに。
でも忘れることができない瞬間がある。

時おり、ふとした瞬間に戻る理性の光。
切なげに眉を寄せて、瞳の端からは透明な雫が筋となって頬を伝う。
その雫を唇で吸って、激しい律動を身体の中に与えれば、白い花は紅い花へと変じていく。
紅く染まっても無垢な純白に戻る花が何時しか僕だけの紅い花になる瞬間を夢想する。
紅と白を、繰り返して、繰り返して――
いつか完全な闇へと堕ちていくんだろう。

そうなれば。
もう僕たちには、世界の音も聞こえないし、見えもしない。


君と堕ちる闇ならそれも幸せ――


END
 

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