とあるX'masの一日~SN編~
クリスマス3部作小説の最後、SN編です。
実は、一応3部作なんですけど、ネタフリだけしておりて、回収できていないネタがあります。
いつか番外編と書けたら書きたいなぁ・・・なんて。
あと、まさかの深夜編(R18)とか。。。本当にあるのか?それ。
では、AM編で述べた諸注意を了承のうえ、「読んでみる?」から本文へドウゾ~!!
▼読んでみる?▼
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沖田の姉・ミツへのクリスマスプレゼントを選ぶ手伝いをするために沖田と一緒にお店を回っていた千鶴の視線がある一か所で止まった。
今は、おしゃれな雑貨や文具を扱うショップの手帳コーナを見ていた二人だった。
「どうかしたの、千鶴ちゃん?」
「いえ、なんでもないんです」
「そう?」
「はい、向こうの方も見てみませんか?」
そう言って、千鶴は沖田の手を引いてカップなどが置いてあるコーナへと向かった。
その後も色々歩き回った二人は、なんとかプレゼントを決めることがでた。
空を見上げればすっかり暗くなっている。
「もう、こんな時間か。今日はありがとう、千鶴ちゃん」
「いえ!!私も楽しかったですよ」
「そう?じゃぁ、お願いして良かった」
イルミネーションで飾りつけされている大きなクリスマスツリーがある広場を通りかかるとその周囲に人だかりが出来始めていた。
「あれ?何かあるんですかね?」
さっきここを通ったときにはツリーのイルミネーションが灯っていたというのに今は消えていることに千鶴は首を傾げた。
「ふーん。もうすぐイベントが開始されるらしいよ?」
「本当ですか?」
「うん、ここの案内版に書いてある」
「そうなんですか~~」
千鶴が期待の目でツリーを見上げる姿を横目に見た沖田は徐に口を開いた。
「千鶴ちゃん、疲れてない?」
「いえ、だい・・・」
「疲れてるよね!!連れまわしちゃったし。僕も疲れたからさ、ここで休んで行こう」
「え、いいんです、か?」
「うん、もちろん。あそこのベンチ空いてるから座ろうか。見やすそうだし」
「はい」
ツリーから少し離れた階段上にあるベンチへと腰をかけると、二人は同時にふぅーと息を吐き出した。
そして顔を見合わせると、どちらともなく笑い声を漏らしたのだった。
「あははは。実は結構疲れてたみたいだね、僕たち」
「はい。人混みのなかずっと歩いてましたしね。でも・・・」
「デートは楽しかったよね」
「はい、楽しかったです、デー・・・・えぇ!!??」
サラリと自然に告げられた単語に、千鶴は違和感を感じることもなく沖田の言葉に同意しようとした。
だが、その単語を口にしようとして、そこで初めてその単語の意味に気付いた。
「ちょ、沖田先輩・・・・」
「シッ・・・ほら、始まるよ」
沖田がそう告げたのと同時に、辺りの電燈は消されツリーのイルミネーションに光が灯される。
クリスマスソングが鳴り響き、曲に合わせてイルミネーションが動き、色とりどりの光を纏い、様々な表情を見せる。
ショーが始まってしまえば、千鶴も沖田の言葉が頭の片隅に残っているもののイルミネーションへと魅入られた。
「・・・・キレイ・・・・」
「うん、そうだね・・・・」
約10分ほどのショーが終了し、人々が散り散りになっていく。
それでもイルミネーションの洪水にのまれたままの千鶴はホゥとツリーを見上げている。
「くすくす・・・ねぇ、千鶴ちゃんそろそろ行かない?」
「あ・・・はい。・・・綺麗でしたね、沖田先輩!!」
「うん、そうだね。あ・・・そうだ」
「どうかしたんですか?」
何かを思い出したような仕種をした沖田に千鶴が少しだけ首を傾げた。
「ごめんね、実はもう一つ付きあって欲しい場所があるんだけど大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ?」
「良かった、ありがと」
そう言って、ベンチから立ち上がると、二人は再び手を繋いで歩き始めた。
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沖田と千鶴は、夜の暗闇の中で建ちそびえるその建物を見上げている。
「付きあって欲しい場所、ってココですか?」
「うん、そうだよ」
「ここって・・・・・」
「うん、僕たちの通ってる学校だね」
「ここになんの用事が・・・・忘れ物とか、ですか?」
「ううん、違うよ」
「じゃぁ・・・・」
なんなんですか?、と問いかけようとしたが沖田が口元に人差し指を当てて黙るように促され、千鶴は言葉を飲み込んだ。
「ごめんね。見つかるとやっかいだから」
なら、忍び込まない方がいいんでは、とは言えなかった。
沖田がもう入り込む気でいる限り、千鶴に止めることなど不可能だろう。
夜の学校に忍び込んでいるというのに、飄々とした態度の沖田と、ビクビクした千鶴は対照的である。
そして、辿りついたのは屋上へと続く扉の前である。
「あの、屋上って立ち入り禁止で鍵がかかってませんでしたっけ?」
「そうだね、そもそも立ち入り禁止じゃなくても休みの日でこんな時間だったら普通は閉まってるよね」
「じゃぁ、なんで・・・・」
「僕、コレ持ってるんだよね」
チャリンとした音をたててポケットから取り出したのは鍵だった。
「それってもしかして・・・・」
「ご名答♪♪ここの鍵だよ」
「な、なんで持ってるんですか!?」
「んーー、前に掃除やらされたときにコッソリつくちゃった♪」
「”つくちゃった♪”じゃないですよ!それっていけないんじゃ・・・」
「うん。だから内緒ね。僕と千鶴ちゃんの、二人だけの秘密だよ?」
「え・・・」
そなこんな言っているうちにカチャリと鍵が開けられ、屋上への扉が開かれた。
ヒューと冷たい風が二人の身体を過ぎ去っていく。
「ちょっと寒いけど我慢してね」
「は、はい・・・」
身を縮込ませながらも屋上へと足を踏み出して、フェンス際に寄っていく。
「僕が千鶴ちゃんに見せたかったのってコレなんだ」
街の方を見てみて、と言われてそちらに視線を向ければ、光の海原が存在している。
「すご・・い・・・」
「でしょ?でもね、もうひとつあるんだ」
「え、もうひとつですか?」
「そう、もうひとつ。空、見上げてごらん」
言われた通りに空を仰げば、そこにも星々による自然の光が無数に輝いている。
「どう?すごいでしょ?人口と自然のイルミネーションが共存してるんだ・・・なんかすごくない?」
「・・・・・・」
「千鶴ちゃん?」
なんの返事もない千鶴に、どうしたのかと、顔を覗きこんだ。
すると、千鶴は感動で言葉を発することもできずに涙で瞳を潤ませていた。
「そんなに泣かなくてもいいじゃない」
「だって、だって・・・・綺麗すぎて・・・・あり、がとう、ございます、沖田、せんぱ・・・」
「・・・ちょっと、千鶴ちゃん、ソレ反則・・・」
「へ?な”に”がですか?」
涙で声を震わせながら、涙で潤んだ瞳のまま沖田を見上げる。
それを直視できずに顔を背けてなんとか自分を抑え込むことに成功する。
「本当にわからないかなぁ・・・・」
「沖田せんぱい?」
「ねぇ、千鶴ちゃん。そんな簡単に男に泣き顔見せちゃ駄目だよ」
「え?」
「千鶴ちゃんのそんな表情が【男】を煽るって分かってる?」
「あの?」
未だに分かっていない千鶴に沖田は、自分がこんなに我慢してるのに、とある意味逆ギレ気味に思わず本音を口にしていた。
「だ・か・ら、キミを好きな男はもちろん、そうじゃなくても千鶴ちゃんにキスしたり他のこともしたい、って思っちゃうってコト。わかった?」
「え・・・・えぇええ!!??」
数秒思考を巡らせた千鶴は、やっとその意味に気づいて火照る頬を隠すように両手を当てながらバッと身体を後ろに引いた。
「・・・・それはそれでちょっと面白くないんだけど」
そんな千鶴に沖田が不貞腐れたように呟く。
顔を真っ赤にしたままもう一歩後ろに下がろうとした千鶴は、バランスを崩して倒れこみそうになるのを手をバタつかせて体制を整えようとしたが今度は沖田の方へと倒れこんでしまった。
視線を外していたせいでそれに気づかなかった沖田は、千鶴を咄嗟に支えながらもバランスを取ることができずに地面へと倒れ込んだ。
「ちょ、大丈夫、千鶴ちゃ・・・って!?」
「?沖田せんぱい、どうしたんですか?」
沖田の身体の腹筋部分にのっかかる状態になってしまった千鶴は自分の格好に気づいてはいない。
「千鶴ちゃん、それ・・・・【白レースのリボンが掛けられた桜】?」
「へ?なんのことですか・・・・」
「千鶴ちゃん、スカート」
「スカート?」
スカートに手を伸ばしたはずなのに薄い生地越しにお尻に触れる感触に千鶴は未だ状況を飲み込めていない。
「・・・・そっかぁ、姉さんのクリスマスプレゼントって・・・・・」
「どうしたんですか、急に・・・」
「これは有り難く貰っておかないとねぇ。ね、千鶴ちゃん」
「あの、なんのことですか?」
「千鶴ちゃん、スカート捲れてるよ」
「え!?・・・うそっ!!!!」
慌ててスカートを直すと、恥ずかしさで泣きそうになりながら慌てて沖田の上から起き上がろうとしたが、それを沖田の腕が阻んでしまう。
「・・・・ねぇ、千鶴ちゃん。僕は千鶴ちゃんが好きだよ。千鶴ちゃんは?」
「その・・・私の下着・・・見たんですよね・・・」
「うん、ごめんね。でも、今は僕が質問してるんだけど・・・・」
「・・・です」
「え?」
「下着が私の答えです!!」
羞恥心に耐えるように、それだけを叫ぶと千鶴は沖田の胸へとギュッと顔を埋めたのだった。
「あはははは。敵わないなぁ、姉さんにも、千鶴ちゃんにも。・・・・本当に最高のプレゼントなんだもんなぁ」
学校の屋上で抱きあったまま、最高のプレゼントを受け取ったのだった。
ずっと恋心を抱いていた相手の【心】を―――。
それは、あの一言から始まった必然の奇跡。
想いを伝えるための賭けだった。
『ねぇ、千鶴ちゃん。アナタ、クリスマスプレゼントになってみない?』
<SN編/END>
★☆★後書き★☆★
すんません、こんな3部作を作っちまいました。
一気に思いつくままに書いたので、変なところがあったらすいません。
しかも、変態的なネタで。。。。(汗)
くりすます、なのにぃ。。。。
アホではなかろうか、私。
他にも入れたいネタがあったんですけど、体力と集中力が持ちませんでした(汗)
さて、この3部作、期間限定(12月末日まで)でお持ち帰りOKなので良かったらドウゾ~~。
(あ、もし、サイトやブログをお持ちでそこに掲載してくださる、という方は、理空の名とブログ名だけでも添えてくださいませ~~。)