偽りに隠れた真実(6)
はい、長らく時間があきまして申し訳ありません。
やっとこ「偽り」の続編でございます。
番外編につづき、沖田の嫉妬編になっています。
さて、今回の被害者は誰かなぁーー(笑)
そうそう、今、「クロックゼロ」を絶賛攻略中ですvv
CZやりながら書いた部分もあったり。(←をい)
それにしても、りったん可愛ええよぉvvv
今のところ、一番気になっていたりったんは、ついさっき攻略したZE!
マジ可愛かった、泣いた、カッコイイ!!
幼馴染イイっっ!!
基本的に、シナリオもよくできていたから楽しめたよ。
でも謎を解くには他のキャラも攻略しないとね!
おっと、失礼。
CZのことはまた今度にします。
では、「読んでみる?」から本編へドウゾ!!
▼読んでみる?▼
********************
今夜の夕餉の食事当番だった私は勝手場に立っていた。
この時期、特に冷え込んできているから皆さんに身体を温めてもらえるように暖かいものにしようと考えていた。
「おでん、とかがいいかな・・・・」
「それなら、僕、大根が食べたいなぁ。うーんと甘くしたやつ♪あと、竹輪だったら食べてもいいよ」
頭に浮かんだ献立をポソリと口にした途端に、おでんに入れる具材の注文をしてくる楽しそうな声が私のすぐ耳元から聞こえてくる。
「・・・あの、沖田さん」
「ん?」
「そんなにくっつかれていると、動きづらいので離れていただけると作業がしやすいなぁ、なんて・・・」
「嫌だ」
「・・・・・・・はい?」
沖田さんの即答に私は呆気に取られてしまって、その答えの意味をよく把握できなくて呆けた声を漏らしてしまった。
「だ・か・ら、【嫌】って言ったんだよ」
背後でクスリと笑う雰囲気を感じたそのすぐ後、沖田さんの掠れた吐息声が一言一言を区切るようにゆったりと私の鼓膜を刺激する。
「あ、あのですね、私はお食事当番なんですが!!」
瞬間的に、私はビクリと身体を硬直させてしまう。
頬が熱くなっているのを感じながら堅く目を瞑って、とりあえず私が【当番】であることを訴えてみようと声を上げる。
「うん、分かってるよ。だから、甘い大根と竹輪を入れてね、ってお願いしてるんだけど?」
「では、離れて・・・・」
「嫌だ」
「え、えーと。ですからね、私は・・・・」
「別に僕が此処にいたって準備はできるでしょ。・・・それとも居られると困ることでもあるのかなぁ?」
えぇ、おおいに困ります。こんな背後から抱き付かれていたら動けません。
―――と、思うけど、寂しそうな声色に私は何も言い返すことが出来なかった。
「・・・・・分かりました」
「そう、良かった」
こうなってしまったら、どうしようも無いと観念した私は、小さな溜息をついて諦めることにした。
機嫌よさそうな沖田さんの声に、私は再び溜息を吐いた。
・・・・どうしたって、私が沖田さんにかなうはずが無いだろうし。
「あ、お酒も忘れないでね。それと、苦いのは入れちゃ駄目だからね!」
「お酒ばかりじゃ身体に悪いですよ。好き嫌いしないでちゃんと他のお野菜とかご飯も食べないと駄目ですよ?」
「えー、僕はあんまり食べる方じゃないし、お酒をチビチビとやる方が好きなんだけどなぁ。でも、そうだな・・・千鶴ちゃんが食べさせてくれるなら他のもちゃんと食べるよ」
耳元に囁きかけられた言葉に甘い雰囲気を感じて私は、咄嗟に頬を紅く染めてしまう。
それと同時に何かを誤魔化すかのように胸がツキンと震える。
―――これは【金平糖】のせいなのだと、私はまだ何も【気づいてはいない】から大丈夫、と。
「な!!なに言ってるんですか。お一人で食べてください、子供じゃないんですから!!」
「なんで?この間は僕が食べさせてあげたじゃない。今夜は千鶴ちゃんが僕に食べさせてよ」
「ど、どうしてですか!!」
「ん。もちろん、見せつけるためだよ?」
「み!!?」
ごく普通のことのように告げるその言葉に、私は絶句で手元さえも止めてしまった。
そして、考える間も無いままに先ほどまでの調子とは打って変わった低く小さな呟きが私の耳を震わせた。
「千鶴ちゃんは僕のなんだから。僕以外になんて・・・許さない」
「沖田さん?」
本当に小さな呟きだったから最後の方はほとんど聞き取れなかったのだけど、その変化に思わず私の声は不安に滲んでしまった。
あの、お昼のときの一件と同じものをその声色に感じてしまったから。
それは、怖いほどの――――
そこまで考えた私は、首を横に振ってその思考を散らしてしまう。
それ以上は考えては駄目だと、本能的に悟っていたのだと思う。
気づいたら危険だと、戻れなくなってしまう自分を。
「ん?ただ、僕の千鶴ちゃんに食べさせて欲しいなぁ、って言っただけだけど?」
けれど、直ぐに何時もの私をからかうときのような飄々とした声に、内心はホッとしながらも困惑した表情を浮かべる。
「もう、さっきから何を・・・・・・」
「だぁあああ、いい加減にしやがれッッ!!!!!!!!!どこの新婚家庭だっつーーのッ!!」
私たちの間に立ち込めていた空気を掻き消すかのように響いた叫びで私はハッと我にかえった。
苛々した様子を隠しもしない永倉さんの視線を感じて私は苦笑いを浮かべてしまう。
その理由が痛いほどに分かるし、周囲を失念していた自分自身にさえ驚愕してしまうほどだ。
つまり、当番は私一人ではない、ということ。
「す、すいません!!すぐに支度します!!」
「いや、千鶴ちゃんは悪くはないんだけどよぉ・・・なぁ、千鶴ちゃんがさっきから背負ってるクソ邪魔そうなソレ・・・・・」
永倉さんが私の背後・・・というか背中に張り付いている沖田さんを見て引き攣った笑みを浮かべている。
あははは・・・・本当にゴメンナサイ、永倉さん。
先に謝っておきますね、色んな意味で。
「嫌だなぁ。”クソ邪魔そうなソレ”って失礼じゃないですか、新八さん?」
いつもの惚けた口調ではあったけれど、少しムッとしたような雰囲気の沖田さんに、永倉さんの額がピクリと痙攣している。
下手をすれば、今にも斬り合いが始まってしまいそうな一触即発な空気が勝手場を包む。
「あぁ!?んじゃぁ、聞くがなぁ。当番でもねーお前がなんで勝手場に居るんだよ?」
「なんでって、千鶴ちゃんが心配だからじゃないですか」
怒りを抑え込むような永倉さんの声にも、沖田さんは顔色を変えることもない。
「だからって千鶴ちゃんに抱きつくなんて羨ましい状態の理由にはなんねーだろうがよッ!!」
「新八さん・・・・・今、何て言いました?」
けど、顔色を変えることの無かった沖田さんが永倉さんの一言に何故かピクリと反応した。
その声色は、いつもより低い音を紡ぎだしている。
「あ?」
その沖田さんの変化に、永倉さんもすぐに気づいたようで戸惑いの色を見せる。
「今、千鶴ちゃんに抱きついてる僕が、何だって言いました?」
「お、おい、総司?」
益々と不穏なものを感じる。
その証拠に永倉さんの額には薄っすらと汗が滲んで、苦笑いを浮かべている。
「僕の聞き間違えじゃなければ、【羨ましい】って言いましたよねぇ」
「ちょ、ちょ、待てって!!」
「僕の千鶴ちゃんに、抱きつきたい、なんて邪なこと考えてませんよね?」
「バ、馬鹿ヤロウッ!そ、そんなこと、この”男・永倉新八”様が考えてるわけねーだろうッッ!!」
「ふぅーん・・・・それにしては変ですよね?」
沖田さんは私から離れると、永倉さんの前に立って、その目をジッと見る。
口元は笑みの形を描いているというのに、永倉さんに向けている沖田さんの目は笑ってはいない。
「な、何がだよ」
「目が泳いでますよ、新八さん」
「へ?」
永倉さんの上擦ったような声と、沖田さんの冷たいほどの抑揚のない声―――そして、お湯が沸くグツグツとした音がこの勝手場に響いている。
そのお湯の沸く音で、私はハッと我に返った。
隊士たち全員分の夕餉の準備をしないといけないというのに、手を止めている暇などない。
夕餉後には、巡察もあるのだから遅れさせるわけにもいかない。
「そ、そうだ!永倉さんはおでんの具はどんなのがいいですか?・・・・」
「駄目だよッッ!!」
「え?」「あ?」
その場を収める為に話を逸らそうとした私の言葉に、鋭いほどの沖田さんの声が覆いかぶさる。
そんな沖田さんの様子に、私と永倉さんの驚きの声が重なった。
あの時と同じ叫びだった。
この間の土方さんに向けたものと。
この間のことといい、今のことといい、私の中で沖田さんに対する言い知れない恐怖と不安が過ぎったのだった。
沖田さんの何に対してのものかも分からないままに―――。
【つづく】
★♪後書き♪★
さて、「偽り~」は終幕に向かって”沖田の嫉妬”編に
突入でございます。(いつから○○編なんてついたんだ。。。)
さて、今回の被害者は新八っあんでした。
何気に新八っあんのキャラ好きですよvv
うふふふふ・・・・・。
さて、次の被害者は誰にしようかなぁ~~。
ではでは、お読みいただき有難うございました!!