*第2話*僕が護りたいのは君
まだSSL沖田は登場してません。
話題にでるだけです。
その代わり、薫兄さんが登場です☆
▼開く?▼
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ジリリリリリリリ・・・
その音は徐々に大きくなって少女の鼓膜を刺激する。
それは毎朝のように部屋に響き渡り朝を告げる音。
少女はベットサイドへ手を伸ばすと、目覚ましのスイッチを止める。
カーテンの隙間から差す陽光に瞼を瞬かせながら薄く瞳をあけた。
少女の瞳に一番最初に飛び込んでくる風景は、己の部屋の見慣れた天井・・・のはずだった。
「おはよ、千鶴ちゃん♪」
少女・千鶴の目の前にはニッコリと笑みを称えた男の端正な顔があり、千鶴の大きな瞳が更に大きく見開かれる。
そのいつもと違う状況のせいで、静かな朝に千鶴の悲鳴が木霊することとなった。
「き、きゃぁああああーーー!!!!」
自分の部屋の、しかも早朝に、本来居ないはずの人間がいれば誰でも驚くだろう。
「酷いなぁ、僕の顔見て悲鳴だなんて」
「な、なんで!!??お、お、おきたせんぱいが・・・」
「何を言ってるのかな?・・・僕は君のしゅ・・・」
--ドンドンドンっっ!!!!--
男が何事かを告げようとしたが、扉を乱暴にノックする音に遮られた。
「千鶴、朝から煩いっ!!」
「え、あ、か、薫っっ!!?ご、ごめん。ちょ、ちょっと、ゆ、夢見が悪くて・・・」
部屋にいる男の存在を兄・薫に気取られないように必死だったが、言葉の端々に何か隠しているのは明白だった。
「・・・なんで、ドア開けないのかな、千鶴?兄さんは悲鳴を上げるカワイイー妹を心配してわざわざ飛んできてあげたんだけど?」
「うー、本当に何でもないのーーっっ!!」
「”何でもない”なら、ココ開けられるだろ?」
この状況をどうしようかと顔を青くさせていると、そんな千鶴とは逆にお腹を抱え笑いを耐えているような男の姿が目に入った。
「な、何が可笑しいんですか、沖田先輩!!そもそも何で沖田先輩が私の部屋にいるんですか!?」
「あははは。ごめん、ごめん。だって千鶴ちゃんってば昨夜と同じ間違えをするうえに、まだ気づかないから可笑しくて・・・あはははは」
「沖田先輩!!私は真面目に・・・」
「ほら!!だからそれだよ。”沖田先輩”って誰のこと言ってるわけ?僕は”ソウシ”だよ。昨夜、千鶴ちゃんの守護霊になった、ね?」
「ああぁーーっ!!!!」
ソウシの言葉に、昨夜の記憶が蘇った千鶴は再び大声を響かせることとなった。
・・・兄の薫がドアの外にいることも忘れて。
「千ー鶴。今、”沖田”とか聞こえたんだけど・・・。ちゃーんと説明してくれるよねぇ」
「あ、ち、違っっ!!」
ふいに自分の肩に触れる感触に顔上げると、先ほどと違う優しい翡翠色の瞳に意味もなく千鶴は安堵した。
「大丈夫だよ、千鶴ちゃん。昨夜も言ったでしょ、僕が”見える”のも僕の声が”聞こえる”のも君だけのはずだよ」
「はい・・・」
気持ちが落ち着いたとはいえ、少しだけ緊張をにじませながらロックをはずした。
その途端に勢いよくドアが開かれ、自分とよく似た顔をした兄の姿が現われる。
--千鶴と違う点といえば、朝から機嫌悪気にしかめられた表情だろう。
「お、おはよう・・・?」
「・・・ねぇ、千鶴。兄さんに教えてくれるかな?」
「え・・・?」
千鶴の部屋の中を見回し、ある一点に視線がとまると薫の表情が不機嫌を超えて凶悪といってもいいほど歪められる。
そこには、千鶴のベットにゆったりと腰かけるソウシの姿があった。
「何で、朝から、千鶴の部屋に、沖田が、いるのかなぁ?」
「え、えぇえええ!!??み、見えっっ!!?」
勢いよくソウシの方を振り返ると、ソウシ自身も少し驚いたような表情を一瞬だけ浮かべたがすぐにいつもの笑みを浮かべる。
「それはね、僕と千鶴ちゃんが”一心同体”(みたいなもの)だからだよ。お兄さん♪」
「い、一心!!??沖田ぁああああ、お前、千鶴に何をした。それと、お前に“お兄さん”なんて呼ばれる筋合いはないんだけど。虫唾が走るっっ」
「あははは。本当に”沖田総司”が気に食わないんだねぇー。まぁ、僕も君が気に食わないけどね。何か君見てると無性に殺意が芽生えるんだよねぇ、なんでかなぁ~~?」
「あぁ、奇遇だな、沖田ぁ。僕もお前にはいっっつも殺意を感じるよ」
「んーー、そんな生易しい殺意じゃぁないような気がするんだよねぇ、僕のは・・・」
「はぐらかすな!!前にも言ったはずだ、お前に千鶴はやらんっっ!!」
「あははは、どっかの頑固親父みたいな台詞だねぇ。でも、君の言うことを素直に聞く筋合いは”僕”にはないんだけど」
「沖田ぁーーーー」
凶悪なほどの真っ黒なオーラを滾らせている薫と、笑みを浮かべながらも瞳は笑っていないソウシ。
千鶴の部屋が凍るほどのブリザードが吹き荒れている中、二人に挟まれていた千鶴はオロオロと成り行きを見守るほかなかった。
そんな空気を壊したのは、意外にもソウシだった。
「ね、それより。君、風紀委員とやらの当番じゃなかったけ?こんな風にゆっくりしていていいわけ?」
「っっ!!!沖田、この件は学校できっちりとカタをつけるからな」
「はいはい、お好きにどーぞ(どーせ、僕じゃないし)」
ドスドスと、怒りも顕わに薫が部屋から去ると、千鶴はひとまずの平穏にホッと安堵すると同時にソウシへ視線を向ける。
その瞳には、少しの怒りを宿している。
「もう、ソウシさん!!どういうつもりなんですか!!?沖田先輩のフリするなんて・・・」
「ごめん、ごめん。だって、千鶴ちゃんの記憶に薫と”沖田先輩”のやり取りがあってさぁ、面白そうだったから、ついね」
「つい、じゃありませんっ!!あの様子じゃ、薫ってば沖田先輩に・・・って、また私の記憶を覗き見たんですか!?」
「人聞き悪いなぁ、僕の意思じゃないよ?なんか、僕と千鶴ちゃんの波長がピッタリと合っちゃったんだよねぇ。僕の夢でも見てた?」
「えっ!?いや、その・・・」
「ふぅーん。それとも”沖田先輩”かな?」
「・・・・そ、そんなんじゃ//」
「あれ、図星?」
沖田と同じ顔をしたソウシにまさに図星をさされた千鶴は頬を紅色に染めて俯いてしまう。
だが、すぐにその顔を上げる。
重大な事実に気付いた千鶴は、勢いのままにソウシへと詰め寄った。
「そ、それより!!か、薫にもソウシさんが見えてたじゃないですか!!?」
「あー、そういえばそうだったねぇ。」
「ソウシさんっっ!!」
「んー、僕も意外だったんだよねぇ。今までは誰にも見えてなかったんだけどな。千鶴ちゃんに会うまでは、ね」
「でも、薫には見えてるみたいだし・・・。もしかしたら、私の守護霊にならなくても・・・」
薫でもいいんじゃないか--
そう、言いかけた千鶴の言葉をソウシの怒りと悲しみをを孕んだ声が遮った。
「千鶴ちゃんっ!!・・・その続きは言わないでね?僕は、誰の守護霊かな?」
「・・・私、です」
「うん、よくできました。冗談でもそれは言わないでよね」
「はい、ごめんなさい」
「分かってくれればいいよ。僕が護りたいのは君なんだから」
自分の守護霊になるよりか、薫となら、すぐにソウシの”最後の夢が”見つかるのではないかと思って口にしたことだった。
けれど、その自分の言葉がソウシにとってどれだけ残酷なものだったのかと思うと、千鶴は心に痛みを感じた。
それが表情にもでていたのだろう。
ソウシは柔らかく微笑むと、千鶴の頭を軽く撫でた。
「改めてよろしくね、千鶴ちゃん」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
昨夜のように流されてではなく、千鶴は心からの言葉をソウシへとかえす。
視線が交わり優しい気持ちに満たされたのだった。
【第2話・了】
‡‡後書き‡‡
はい、守護霊シリーズ2話目でございます。
いかがでしたでしょうか。。。(ドキドキ)
薫兄さんにも登場していただきました☆
やはり、沖田vs薫は捨てがたいですvv
さぁ、次回こそはSSL沖田を登場させますよっっ!!
そして、ソウシがまさかの○○化っっ!!!(←ヲイ)
次回を待て!!(って、待ってる人いるの?)