廻るキセキ~前半~
遅くなってスイマセン~~(>_<)
さて、今回は、転生現パロ/コメディ系になります!
いつもとテイスト違うような同じような?(笑)
とある番組で”幕末”が特集されることに。その一コーナには”新選組”もあり、一般者で同姓同名の人たちが集められて・・・・・。
という、感じです。
では、「読んでみる?」から本編へドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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僕は、ある部屋の前に立ち尽くしていた。
ドアノブをジッと見つめながらも、そこに僕の手が伸びることはない。
ただ溜息ばかりが吐いて出てしまう。
いきなりだけど僕はクラスでも目立たない方なんだ。
たまにこの名前のせいで悪目立ちしてしまうこともあるけど。
っていうか、今回もこの名前のせいで目立つような破目に陥っているんだけど。
僕は家族命令でテレビ局へと出向くことになってしまった。
あぁ、なんでこんなことになったんだか。
いや、理由ははっきりしてるけどさ。
なんでもこの幕末ブームにのって、ある特番の1コーナーで幕末時代の人物たちを特集する予定らしい。―――その中には”新選組”も入っているらしい。
つまり、”新選組”の主要メンバーと同姓同名の僕にも”白羽の矢”が立ってしまったというわけ。・・・よく調べるよね、テレビ局の人もさぁ。
っていうか、うちの家族も家族だよ。僕と違ってそういうのが好きな人たちだから僕に確認も無く引き受けてしまった。ミーハーも大概にして欲しいよ、本当に勘弁してくれ。
「はぁ・・・」
いつまでも突っ立ていても仕方がないと思い立ってドアノブへと手を掛けて部屋に入った途端、すでに部屋にいた何人かの男の人がこちらを振り向いた。
けれど、僕を見た途端、彼らは落胆したように首を振ったり、ボソリと何か呟いていた。
「なーんだ、総司じゃねーや」
いや、僕の名前”総司”だけど?
と、思いながらも口に出すことはできなかった。
場違いな雰囲気に少し緊張しながらも空いている椅子へと腰をかける。
チラリと僕以外の人達に視線をやると、僕と違ってなんか煌びやかな人ばかりだった。
なんていうか、女の子が居たら黄色い悲鳴をあげそうな?(例外も居るけど)
うん、僕とは正反対の人達だ。
僕といえば、あんまりそういうことに興味もないからボサボサの髪に眼鏡、私服で来るのも面倒だったから制服で来ちゃったし。もちろん、ネクタイもきっちりと締めてる。
・・・えと、この人達も僕と同じ理由でここにいるんだよね?
本当に僕だけ場違いじゃないか??
何だか落ち着かない僕は、鞄から本を取り出して本を読むことにした。
けれど、文字を視線でなぞるだけで文章の意味までは頭の中まで入ってはこない。
この部屋にいるメンバーたちのことが何故か気になってしまっていた。
本に視線を落としながらも彼らの会話を聞いていると、どうやら知り合いっぽいけど・・・普通に街中で見かけたらどんな関係があるのか判断つかない三人が盛り上がりながら話をしている。
クラスのムードメーカになりそうな元気のいい少年、赤髪の洒落た大人の雰囲気を持っていてホストでもやっていそうな男の人、筋肉がすごい陽気な男の人・・・この三人が旧知の仲のように会話をしている。
あのーー、違和感ありまくりなんですけど、普通に考えれば。でも僕は、違和感以上に納得してしまっている部分もあった。なぜ??
「っていうかさ、本当偶然だよな~。まさかこんな所で再会するなんてさぁ」
そう言ったのは、元気の良さそうな少年だった。
”再会”ということは以前から知り合いだったのかな?
「そうか?俺は薄々予感はしてたぜ?」
「まぁ、いいじゃねーか。ここで会ったのも何かの縁。終わったら久しぶりに飲みに行こうぜ!」
「おぉ、いいねぇ。新八っあん」
「おいおい、平助。お前今は未成年だろーが」
「煩いこと言いっこなしだって!」
「そうそう、左之は変な所で堅いんだもんなぁ」
「馬鹿。大人として当たり前の配慮だ」
三人が盛り上がって、更に煩くなりそうな雰囲気のところで怒声がこの部屋へと轟いた。
「てめーら、いい加減にしろっっ!!!」
「やっべー、土方さん怒らせちまった」
「副長が怒るのも当たり前だな。少しは静かに出来ないのか、お前達は」
怒声をあげたのは、やたら整った綺麗な顔をした男だった。
・・・なんだろ、何か気にくわないような気がしないでもないようなぁ。
その後ろに控えている僕と同い年くらいの男は、よく分からないけどこの間見たDVDを思い出せる雰囲気だった。
ちなみに僕が見たDVDは「忠犬ハ○公」。・・・この人達には感動なんてしないけど。
―――てな感じで、僕は大人しく彼らを観察していた僕に、優しそうな人が声をかけてくれた。
この中では一番年上みたいだ。
「いやぁ、テレビなんて緊張するな」
「そ、そうですね」
「あぁ、すまんすまん。自己紹介が遅れたな。俺は、近藤勇だ」
「あ、僕は沖田総司です。よろしくお願いします」
「おぉ、礼儀正しいじゃないか。こちらこそよろしく頼む」
目の前の近藤さんは豪快に笑って僕の肩をたたいた。
けれど、他のメンバーは一斉に僕を凝視する。
な、なんなんだろう??
「えぇえええ、マジで!!?お前が”沖田総司”だったのか?」
「そ、そうですけど・・・?」
平助と呼ばれていた少年が目を瞬かせながら、大げさなほどに驚いた表情を見せている。
僕が”沖田総司”だと、そんなに驚くことなの?
”沖田総司”は、小説や時代劇で描かれているみたいに”美少年”じゃないと駄目なわけ??
でも一説ではヒラメ顔とか言われてるでしょっっ!!
「ふーん、お前がねぇ。どうやら、総司だけは別の奴だったみたいだなぁ」
赤髪のホストっぽい左之とかいう人も顎に手を当てて、しげしげと僕の顔を凝視してながらそう言った。
「ふむ。そのようだな。総司ならこんな大人しくしている筈がないからな」
それに続いて、寡黙な男―――とりあえあず”ハチ”と呼ぶ―――も頷きながら同意の言葉を口にしている。
・・・なんだろう、なんか面白くないんだけど。
アンタたちのいう”総司”じゃなくて悪うございましたッ!!
僕だって好きでココに来てるわけじゃないんだけどっ。
しばらくしてスタッフの人が控室へと来て資料を捲りながら段取りを説明していく。
そして、説明が終わると僕たちはスタジオへと向かった。
もうすぐにでも出番のようでセット裏にスタンバイするようにスタッフから指示され、司会者に呼ばれるのを待つ。
セットの向こうからは、出演者たちの軽快なトークが聞こえてくる。
さすがにプロだなぁー、なんて思っていると、”新選組”のコーナーになったみたいで僕たちの出番がきた。
確かさっきの説明では司会の男性から紹介されてから一人づつ順番に表へと出て行くことになっていたはずだ。
まずはもちろん”近藤さん”だろう。―――”新選組”では局長を務めていたのだから。
少し緊張しているようで、顔や身体が硬くなっている。けど、優しくて不器用な一面があるようで、でもどこか頼もしい、そんな雰囲気がある人だと思う。
そして順番からいって次は、”副長”である土方とかいう人だ。
やたら綺麗な顔した人だけど、眉間に皺を寄せて難しい表情をしながら歩みを進めている。
セット裏の扉手前で、土方さんのポケットから小さいノートらしいものが落ちたのを視界に捉えた僕はそれを手にとった。
手渡そうと思ったけれど、すでに表へと出て行ってしまっている。
・・・・・・・・ふーん、あの人にはこんな趣味があるんだ。
女性に人気あるであろう美形で二十代後半くらいというまだ若い部類のはずなのに、こんな古臭い趣味持ってるんだ?
そういえば、歴史上の”土方さん”の趣味も同じだよねぇ。
まぁ、人の趣味にケチつけるつもりは毛頭ないけど。
本番の後にでも返せばいいか、なんて考えていたら表からは予想どおりの黄色い悲鳴があがる。
あぁ、うん。そうだよねぇ、あのヒト、顔だけはやたら綺麗だもんね。性格は・・・鬼みたいなんだろうケド。
っていうか、ものすごーーーく、僕が出づらいんですけど。
と思いながらも呼ばれたら出なくちゃいけなくて、申し訳なく思いながら表へと出て行った。
反応は・・・こちらも予想どおり。
女の子からは落胆の声、男からは安堵の溜息が聞こえた。
やっぱり来ないほうが良かった、と僕が思っている間に他のメンバーが出てくる度に黄色い声があがる。
はいはい、好きにしてください。
っていうか、僕は元々目立ちたくないんだってば!!
つか、ここまで煌びやかに囲まれると、僕の方がいつもと違う意味で悪目立ちするんだって!!
僕が下を向いていると、司会の男が僕に話を振ってくる。
「沖田さーん、どうしたんですか?」
分かってるくせに話を振ったなコイツ・・・。
しょうがなく顔をあげた僕の目に、ふいに観覧席の中のある少女の姿が映った。
え・・・あ・・・・・。
「・・・・るちゃん」
その姿を目に捉えた瞬間、僕の中の時が止まったかのようにその少女へと釘つけになって――――
手触りのいい黒髪を一本で高く結い、本当は女の子なのに袴を穿き、頬を赤らめながらも微笑みを浮かべて小指を相手の男の小指に絡ませている少女の姿と重なる。
そして、一瞬にして僕の頭の中には走馬灯のように様々な映像が駆け巡った。
―――あぁ、そういうことね。
話が繋がりましたよ、僕も。
僕のかける眼鏡には彼女の姿だけが映っている。
再び俯いた僕の口元には笑みが刻まれ、昔と変わらずにあどけない表情を浮かべている彼女に愛しさを募らせながら僕はポソリと呟いた。
「クスッ・・・”賭け”は僕の勝ちだね、千鶴ちゃん」
覚悟しててね?
<後半へつづく>
★★後書き★★
はい、転生現パロでございましたッ!!
今回は前振りのみでスイマセン。
しかも、今回の前半では沖田さんらしところはちょびっとしかない・・・。
まぁ、うちの沖田さんが最後に言っているように、後半では思いっきり遊んでもらいます、せまってもらいます(笑)
では、ここまでお読みいただき有難うございましたッッ!!