オヨメサンと、タンポポと、ダンナサマ
「月刊薄桜鬼vol2」を見て、ニヤニヤが止まらないー!!
いやー、これいいっすね!!おきちづ年表(違っ!)とかもあるんで、今後SS打つときとか重宝しそうです。
おきちづスチルに目が奪われるっっvv
あぁ、事件想起3のスイカパクリとか超イイよーーーーvvvv萌え萌えっす。
それにそれに、ずーーっと気になっていたチビキャラ新婚シリーズのイラストも見れて幸せvv
話には聞いてましたが、すんごい妄想を掻き立てられます!!
てなわけで、イラストを元に脳内でイロイロ練りこねってSSを打っちまいました(笑)
では、グッドEND後、沖田夫妻の日常の1コマでもOK!という方は、「読んでみる?」からドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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太陽の柔らかな日差しが降り注ぎ、心地好い風が優しく木々の葉を凪いでいる。
絶好の洗濯日和といえる午前中の朝。
とある山中の一軒家の庭先には、腕の中に洗濯物かごを抱えた一人の年若い女性が立っていた。
爽やかな空気を目一杯取り込むかのように女性が深い深呼吸をすれば、清涼な空気で体内が満たされていくのにつれて女性の表情にも柔和な笑みが刻まれていく。
肌に感じる暖かな日差し、鼻腔を擽る新緑の爽やかな香り、この穏やかな時間、すべてが女性に【幸せ】を感じさせているからだろう。
「んーー。・・・・さてと、早く干し終えなきゃ」
女性――千鶴には陽が出ているうちにやっておくべき家事仕事が盛りだくさんなのだろう。
千鶴が手際良く洗濯物を物干し竿へと干していけば、周囲に洗濯物を伸ばすパンパンッという気持ち良い音が鳴り響いていく。
「ふぁああ~~。千鶴、おはよー」
襟元の合わせを大きく緩め胸元を肌蹴させた状態で、頭をポリポリと掻きながら欠伸をしているのは、千鶴の夫である沖田総司だ。
「あ、総司さん!お早うございます。今日はお日様が気持ち良いですよ」
「ふふ・・・僕の可愛い奥さんは今日も朝から元気だね」
「はい、久しぶりの良いお天気ですし、やる事が沢山ありますから!!」
縁側に腰を下ろした総司は、己の組んだ足に肘を乗せて頬杖をつきながら洗濯物を干す作業に戻った千鶴の背をジッと見つめる。
身体全体に感じる陽の明かり、そして太陽の日差しの中にある千鶴の姿に、総司はふと笑みを漏らす。
「・・・・そういうことじゃ、なかったんだけどね」
クスリと、口端を持ち上げて悪戯っぽくどこか色を含んだ笑みを浮べると、千鶴の背に向けて言葉を紡ぐ。
「へ?何か言いました?総司さん」
洗濯物をバンパンと伸ばす手だけは止めずに、千鶴が首を傾げながらチラリと総司へと視線を向ける。
「うん、言ったよ。僕の可愛い奥さんは、昨夜あんなに遅くまで僕と睦んでたのに、朝から元気だなぁーって、ね」
ふふふ、と片目を瞑って昨夜を思い出させるような妖しい微笑みを浮べる総司をまともに目に捉えてしまった千鶴の動きがピタリと止まる。
『っ・・・・ちづる・・・・』
『あっ・・・そ、じ・・・さんっ』
総司の首筋に滴る汗や掠れた艶のある声を思い出して、千鶴の顔中どころか耳や首、全身がボボボっと瞬く間に真っ赤に染まっていく。
「むつっ・・・!!!そそそそそ、総司さん、あ、朝から、な、何をっっ!!!!」
顔を俯かせてギュッと己の着物を握ることで恥ずかしさに耐える千鶴との距離をクスクスと笑いながら距離をつめていくと、総司は千鶴の身体を背後から包み込むようにして抱きしめた。
「あれ、そんなに狼狽えるようなこと?本当のことでしょ」
真っ赤に染まった千鶴の耳元へ息を吹きかけるように囁けば、腕の中にある身体は拍車をかけるようにカチコチに固まっていく。
「も、もう、やめてくださいっっ!!」
それが楽しくて、可愛くて、ついつい過剰なほどに苛めてしまうのだ。
「あははは・・・いつまで経っても千鶴は初心(うぶ)だよね。それなに夜は・・・・」
「ひ、酷いですぅ、総司さんのばかぁーー」
涙目で睨むように訴えてくる千鶴に、流石に総司もやり過ぎたと気づいたのだろう、身体を離して千鶴の頭にポンポンと子供をあやすように手を触れさせた。
「ごめん、ごめん。機嫌なおして一緒に散歩に行こうか、千鶴」
「・・・・・・・・・」
「千鶴?」
「・・・せん」
「なに?」
「行きませんっ!!総司さんなんて一人で行って来ればいいんですっっ!!」
それだけ叫ぶと、千鶴は今までに見たこともない機敏さで洗濯籠を抱えて一目散に家の中へと駆け込んで行ってしまったのだった。
それは、珍しいことに総司がポカーンと間抜け面を晒してしまうほどの反応だった。
その後、いくら総司が話しかけても無視を決め込んで家事に精を出す千鶴に、今は仕方がないとばかりに深い溜息を吐いた総司は一人散歩へと出かけて行ったのだった。
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「もうもうっ!!、総司さんなんて・・・知らないんだからっっ」
昼餉の準備をしながら、千鶴は一人ブツブツと呟いていた。
野菜を切る音や、鍋に食材を放り込む音がいつもより乱暴に聞こえるのは気のせいではないだろう。
「総司さんはいつもいつも私に意地悪するんだから!!私が『嫌です』て言っても聞いてくれないし・・・・総司さんなんて・・・・総司さんなんて・・・・」
そこまで言葉にして、千鶴は気づいてしまった。
食事の準備をしている以外は何の音も無く、家の中がシーンと静まりかえっていることに――、いつもなら食事の準備中でも邪魔・・・もとい傍に居る総司の気配に満たされているというのに。
気づいてしまえば、千鶴の心が寂しさを訴え始める。
「意地悪でも大好き」
鍋に味噌を溶き入れる手を止めて、ポツリと千鶴の本音が零れ落ちる。
「うん、知ってるよ」
「え?」
唐突に聞こえてきた愛しい声に、顔を上げれば千鶴の潤んだ瞳に悪戯っぽくも優しい笑みを浮べる総司の姿が映った。
「ただいま、千鶴」
「あ・・・おかえり、なさい」
「うん・・・はい、千鶴にお土産だよ」
そう言いながら、唐突に総司の手が千鶴の顔へと迫り千鶴は咄嗟に片目を瞑る。
けれど、総司の手はすぐに千鶴から離れていく。
その代わり、千鶴の髪には何かが差し飾られていた。
「これは・・・」
「―――千鶴に似合うと思っったんだ」
それはお日様のように愛らしいタンポポの花だった。
ふと見れば、総司の右手にもタンポポが数本束になって握られている。
「ふふ・・・タンポポ、可愛いですね」
タンポポに、総司の優しさに心が解されて、千鶴の顔に笑みが浮かぶ。
「そうだね・・・タンポポって千鶴みたいだよね」
「え?私ですか?」
「だって、千鶴の笑顔は僕にとってお日様みたいだからね。やっぱり千鶴と一緒じゃないと散歩も味気ないんだ」
「総司さん、ありがとうございます。でも・・・・」
「え、千鶴!?」
総司の手からタンポポを一本だけ抜き取ると、千鶴はそのタンポポを総司の髪にも飾りつけた。
「私にとっても、総司さんの笑顔はお日様なんです。私の心を暖かくしてくれる・・・このタンポポみたいに」
「千鶴・・・・ふふふ、僕たちって似たもの夫婦なんだね」
「ふふふ、そうですね」
総司と千鶴はお互いのタンポポに手を添えながら微笑み合ったのだった。
<了>
★♪後書き♪★
いぇーい、やっと『チビキャラ・新婚シリーズ』の沖田夫妻編イラストが見れたぁ!!
すんごーい、萌えるんですけど!!
このシチュエーションvv、カワユス~~vv
妄想がムラムラきちゃって突発的にSS打っちゃったよ!!
ではでは、ここまでお読みいただき有難うございました。
↓↓あ、良かったらオマケもドウゾ。
<オマケ>
食卓に並べられた食事をジッと見つめると、総司は苦笑いを漏らしながら口を開いた。
「・・・・ねぇ、千鶴。もしかして、まだ怒ってるのかな?」
「いいえ、怒ってなんていないですよ」
「じゃぁさ・・・ナニコレ?」
味噌汁につけ込んだ箸先に摘まれたのは緑色の物体だった。
総司はそれを摘み上げると、千鶴に見せつけた。
「何って、ごく普通の【長ネギ】ですけど?」
「そうだね、ごく普通の、にっがぁーーーい【長ネギ】だね・・・・ねぇ、千鶴。僕が苦いの嫌いなのは知ってるよね」
「えぇ、もちろんです。でも、好き嫌いは駄目ですよ、総司さん。ネギは身体に良いんですから。それに・・・・」
千鶴が何か言おうとしたが、聞いていなかたのか遮るかのように総司の声が重なる。
「分かった!!僕も子供じゃないし、嫌いな葱でも食べるよ、食べるけど・・・・食べやすくしてもらうぐらいはいいよね、千鶴?」
「あの・・・総司さん、その長ネギは・・・・」
わざわざ『食べやすく』と尋ねてくる総司の言葉に何か裏を感じた千鶴が困惑しながらも、先ほどいい損ねた言葉を言い連ねようとしたが、またもや総司のとんでも発言によって遮られてしまったのだった。
「千鶴が口移しで食べさせてくれたら食べるよ。そうすれば、にっがーーい葱でも甘くなると思うんだよね、っていうか、それ以外では絶対に食べないから」
「な、そ、総司さんっっ!?」
「ね、お願い、千鶴」
「っ~~・・・・」
その提案に驚いて総司の顔を凝視してしまった千鶴だったが、懇願するような翡翠の瞳に何も言えなくなってしまう。
総司の性格からして言い出したらどうしようもないことを感じて溜息を吐くと、味噌汁の碗へと口を付けた。
そして、総司曰く、にっがーーい長ネギを口に含むと、膳越しにあーんと口を開けて待ち構えている総司の口に己の口を触れ合わせて口内へと押し込んだ。
「んっ・・・。千鶴が食べさせてくれたお陰で・・・この葱は甘いねv」
「・・・・・」
満足気に満面の笑顔を浮べる総司に対して、千鶴は頬を朱に染めてそっぽを向いている。
(当たり前です。苦くないようにちゃんと煮込んだんですから)
そう思いながらも総司の笑顔を目の当たりにすれば、それでも良いか、と思ってしまうのだから――これも幸せな日常の一時なのだろう。
<オマケ・了>