偽りに隠れた真実(5)~番外編~
(5)のちょっと後で土方さん視点の番外編となっています。
一応コメディのつもりです。
そして、今回、仕事の方が忙しかったり、明日のイベントの準備に追われていたのでいつもより短めです。。。
それでもよろしければ、「読んでみる?」からドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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「あの、副長少しお時間よろしいでしょうか。折り入ってご相談したいことが・・・」
襖の向こう側から恐る恐るといった声が掛けられたのは、総司が昼の巡察の報告とともに俺に頭痛の種を増やして出て行ってから暫くしてのことだった。
まるで総司が去るのを見図っていたようにも思える頃合だ。
書類から顔を離さないまま用件を確認する。
「相談?なんのだ」
忙しい時には特に様々な事象を把握して優先度をつけていくのは当たり前だろう。
「あの・・・沖田組長と雪村のことなんですが・・・」
弱ったような声で告げられた用件・・・・”問題児の名”に、忙しく動かしていた手は止まり、苦虫を噛み殺すかのように顔を顰めてしまった。
「・・・入れ」
その問題児の名に俺の声は常よりも低くいものになってしまっただろう。
昨夜の夕餉のときに総司が告げた言葉を思い出した俺は、ただでさえ忙しいというのに更に頭痛の種が増えるのかと、溜息を吐きたくなった。
だが、聞かないわけにもいかず眉間の皺を深めながら了承の言葉を告げた。
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そして俺は今、廊下にドタドタと足音が響き渡るほど荒い足取りでその部屋へと向う。
その部屋の前でピタリと足を止めて力任せに襖を横に引けば、襖がピシャリ音を立てて開かれる。
「総司、てめーはどういうつもりだぁああああ!!!」
が、怒声をあげた俺の目の前に広がっている光景を見た瞬間、不覚にも絶句した。
「あれ、どうかしたんですか。さっき報告はしましたよ」
総司、てめーは昼から何やっていやがる!!??
俺が怒りを投げつけた当人は部屋で寛いた・・・というか、それはそれは気持ち良さそうに寝ていた。
てめーは、さっき忙しい、とか言っていなかったか?俺に苦労を押しつけてお前は何をやっているっ!!??
だが、当の本人といえば、いつもの勘にさわる飄々とした態度だ。・・・・・・・いい加減にしろよ、お前。
眉間がピクピクと動くのを感じるが、そこまではいいとしよう。いや、良くはないんだがコイツに言っても意味がないっだろう。言って聞くような奴なら俺がこんなに苦労することもなかっただろうからな。
「そういうことを言ってんじゃねぇっ!!」
確かに、見回りで浪士との立ち回りがあったことも報告受けてる。
『大事な用事』があるならばと、しぶしぶでも休憩をやったのも俺だ。
百歩・・・どころか一万歩譲ってやろう。・・・・だかな、総司。
「お前が枕にしてんのは何だ?」
「やだな、もう老眼なんですか、土方さん」
「見えてるから聞いてんだろーがっ!いいから俺の質問に答えろ!!」
「見てのとおり、千鶴ちゃんですよv」
そう言いながら、総司は自分の頬を、枕・・・千鶴の膝へと猫のように擦りつけた。
それに対して、千鶴は顔を真っ赤にしながら困ったように目をギュッと閉じてしまった。
「”ですよv”じゃねーーーっっ!!!なんで、千鶴を枕にしてるんだって聞いてんだよ」
「だって、僕の愛する千鶴ちゃんが危ない目にあったんですよ!!千鶴ちゃんがいつ何を仕出かすか、心配で心配で。つ、ま、り、千鶴ちゃんに責任とってもらってたんです」
「・・・・・・」
何か嫌な予感がするんだが・・・・・俺の気のせいだと願いたい。
が、きっと気のせいではないだろう。
昨夜のことといい、一番組の隊士たちが俺にまで泣きついてきたことを考えると――――
「まさか、さっき言ってた『大事な用事』って言うのは・・・・・」
「もちろん、千鶴ちゃんに責任とって僕を癒してもらうことです♪♪」
「っっ!!!!!!!!!!」
だが、やっぱり俺の願いを裏切って総司から伝えられたのは予想通りの言葉だった。
「んだとッ!!?てめーは隊務を何だと思っていやがるっっ!!第一、千鶴にも仕事があんだろーがっ!てめーの都合で振り回してんじゃねーよ。千鶴だって嫌がってるだろうが!!」
コイツは剣だけじゃなく、俺を怒らせる天才でもあると本当に心の底から思う。
捲くし立てるかのように、怒りのままに俺は声を張り上げた。
つーか、千鶴の膝枕って・・・・・他の奴が知ったらどんな反応するか容易に予想がつく。
俺だって役目がなきゃ・・・・・・・・・・ゴホン、ゴホンッ。
あーこれはナシだ、ナシ。俺は何も言ってねー、言ってねーぞ。そーだな、何も言っていないな!!
「あれ、嫌だった、千鶴ちゃん?」
「えっ!?・・・・・あの、その・・・・」
総司は、身体を動かして仰向け状態になると、上目使いでジッと千鶴を見つめながらそう言った。
自分に話が来るとは思っていなかったのか、千鶴は戸惑ったように言葉を濁らせた。
「千鶴、嫌なら嫌だと言え」
「土方さんには聞いてないんですけど」
「あ?」
俺と総司の間に険悪な空気が立ち込める。千鶴と言えば、オロオロとしてしまっている。
「あ、あの・・・・嫌、ではないです・・・・私でもお役にたてるなら、嬉しいです・・・・恥ずかしいですけど。あ、あの、もし良かったら、土方さんもお疲れのようでしたら今度・・・・・」
「駄目だよっっ!!」
「え?」
急に声をあげたのは総司だった。さっきまでの人を食ったような態度はなりを潜めて怖いほどの・・・・瞳の奥に暗い炎が見え隠れする。総司、お前・・・・・・・・?
「千鶴ちゃんは、僕の、でしょ!?だから絶対に駄目だから!!」
必死なほどのその声に、俺は思わず声を失ってしまった。
付き合いの長い俺でさえ、そんな総司を見るのは初めてと、言っていいかもしれなかった―――――
【終わり?】
★★後書き★★
はい、土方さん視点の番外編でした。
コメディだったはずが最後の最後で・・・つか、中途半端な感じになってしまったぁ(汗)
せっかく前回軌道修正したはずなのにぃ、そんなに私は沖田狂愛ルートにもっていきたいのか!!??
では、お読みいただき、ありがとうございました!!