君の笑顔とカプチーノ
ご無沙汰してます、理空です。
まだまだ不安定な状況ではありますが、こんなときだからこそ皆さん元気出していきましょうね!!
そして、ひとまず一安心のことに連絡のつかなかった親戚と連絡がつきまして無事であることが分かりました。
その知らせを聞いたとき、ホッと身体が軽くなるのを感じたほどです。
とはいえ、このような状況ではありますので節電を心がけながら少しづつ更新していきたいと思います!!
(えぇ、会社の昼休みに少しづつ打ったり、計画停電中で仕事にならない時間帯にネタを頭の中で構築しています。。。)
こんな拙いSSでも、読んでくださっている方が少しでも笑顔になっていただけたら嬉しいです。
では、現パロで沖田が社会人ですが、それでもOK!という方は「読んでみる?」からドウゾ!!
▼読んでみる?▼
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あの娘と出合ったのは一ヶ月ほど前の夕暮れどき。
裏通りということもあってなのか、ちょうど客が僕しかいないカフェだった。
『え、えと・・・良かったらいかがですか?』
控えめな微笑みを浮べながらそう言った愛らしい声のウェイトレスの少女。
今でも僕の目に耳に焼き付いて離れないあの娘の最初の笑顔と声は、仕事や鬼上司のせいで疲れきった僕の心に染み入るようだった―――
「ふぁあああ~~~」
椅子の背もたれに体重をかけながら両腕を思いっきり上げて伸びをする。
ついでに壁の時計に視線を走らせばデジタルの数字は【15:30】を示していた。
(もうすぐ、あの娘が入る時間だ)
時間を確認した僕は、徐にデスクの上のノートパソコンの電源を切って鞄の中へと仕舞って席をたつ。
「おい、総司・・・」
その瞬間、一応僕の上司である土方さんが眉を吊り上げて怖い表情をしながら、これまた恐ろしく低い声で僕の名を呼んだ。
「なんですかぁ~~。土方ぶ・ちょ・うー」
「『なんですか』じゃ、ねーんだよっっ!!週に何度も同じ時間に、テメーは何処に行っていやがるんだっ!!」
机をドンッと土方さんの拳が叩きつけたことで机上の資料やペンが振動で飛び上がるほどの怒りが秘められている。
「えーー、秘密ですvv」
社内では鬼部長で有名な土方さんの怒気にも怯むことなく軽い口調で告げれば、土方さんの眉間がピクピクと引き攣りを増していく。
「お・ま・えはぁぁーーー、俺をおちょくってんのかっっ!!」
「嫌だなぁ、今頃気づいたんですか、土方さん?」
「そーーじぃー」
「そんなに怒ると、血圧あがりますよ?見た目は若くても歳なんですからあんまり怒らない方がいいですよ?」
ニヤリとした笑みを浮べながら心配しているかのような口ぶりで告げれば、土方さんの肩がフルフルと振るえ、額には堪忍袋の緒が浮かび上がっている。
本当に土方さんって、普段は冷静なクセに身内には感情豊かだよねぇ~~。
「誰が、俺を怒らせてるんだぁ、あぁああっっ!!テメーのせいだろうが、総司っっ!!だいたい、俺はまだそんなに歳は食っちゃいねーーっっ!!」
「土方さんの歳なんかどうでもいいんです。それより、僕はちょっと外出してきます」
「そーじぃー。てめーが歳のこと言い出したんだろうがぁっ!!っていうか、何勝手に外出しようとしてやがんだっっ!!俺は許可した覚えは無いんだよっ!!」
バンッっと再び机を叩く大きな音が部屋中に響き渡り、周囲から僕たちの様子を伺っていた同僚たちがここ最近の僕と土方さんのやりとりに溜息なんかを吐いていた。
「はぁ。僕の心はどっかの鬼部長のせいでボロボロなんです。仕事にも集中できないほどに神経が擦り減ってしまってるんですよ・・・このままじゃ僕は鬼部長のせいで鬱になって出社拒否することになっちゃうかも」
「図太いテメーの何処に【鬱】になる要素がある!?」
僕もわざとらしいほどに溜息を吐き、胸を押さえながら傷ついているかのように眉間を寄せてみせるけど、土方さんは忌々し気に呟くだけだった。
まぁ、このやり取りも毎回のお約束だしね。
「・・・・と、いうわけで、このままじゃ僕の繊細な心がズタズタになってしまうので、ちょっと外で仕事してきます~~」
クルリと身体を翻した僕はひらひらと手を振りながら出入り口のドアへと向っていく。
けれど、ドアの前で動きを止めた僕は顔だけを土方さんの方へと向けると、ニッと口端を持ち上げ意地の悪い笑みを浮べる。
「あ、言っておきますけど、誰かを尾行に付けても無駄ですからね?じゃぁ、行って来まーす」
それだけ言い放つと、今度こそ事務所を抜け出したのだった。
廊下にまで聞こえてくるような土方さんの怒声を無視したままね。
最近の僕はノートパソコンを持ち出して外で仕事をする機会がやたら多くなった。
別に会社の居心地が悪い、ってわけじゃない。
ただ、ここ最近で僕にとっての【日課】が出来てしまった、というだけ。
それは絶対に誰にも教えたくないようなこと。
だってさ、絶対に皆もあの娘のこと知ったら気に入っちゃうと思うんだ。
なんとなくそんな確信が僕にはあったから、わざわざ尾行を撒くようにして遠回りして目的地へ向うんだ。
会社から数分の場所にある裏通りに面した隠れ家的なカフェに。
あの日、僕がこのカフェに入ったのは偶々のことだった。
土方さんと仕事のことで意見が合わなくてムシャクシャして外で仕事をしようと飛び出し、苛々した気分で歩いていた僕の鼻にほのかな甘い香が漂ってきた。
それは僕の苛々感さえ解すかのようなものでつい足がそこへと向ってしまった。
平日の昼下がりということもあってか、裏通りにあるそのカフェには客はまったくいなかった。
もしかしたら準備中かもしれない、とも思ったけど扉には【OPEN】のプレートが下げられて開店していることが分かった。
アンティーク調のドアを開くと、落ち着いた雰囲気の店内にチリーンと鈴の音が鳴り響く。
日差しの入り込む窓際の席に座った僕は、マスターらしき男性にミルクティーを注文すると、すぐにノートパソコンを取り出し仕事に集中していた。
静で居心地の良いカフェだったせいか、集中して仕事を進めていた。
最初に注文したミルクティーもすっかり飲み終わって暫く経った頃だった。
コトリ――。
テーブルの上に何かが置かれる音。
音と共に視界の端に映り込んだ陶器と華奢な手に、向かい合っていたパソコンの画面から顔を上げる。
そこには、このカフェの制服らしき服とレースをあしらった純白のエプロンを纏ったウェイトレスの少女が立っていた。
いつの間にか、マスターらしき男性の他にウェイトレスの少女が増えていたようだった。
「え・・・?僕、コレ頼んでないけど?」
頼んでもいない飲み物が運ばれてきたことに訝しげな視線をウェイトレスの少女へと向ける。
普通なら運び間違えかとも思うけど、それは絶対に有り得ないことだった。
だって、この時もカフェの客は僕一人だったから。
「え、えと・・・良かったらいかがですか?」
そう言って、遠慮がちな微笑みとともに差し出されたのは、暖かな湯気が立ち上るカプチーノだった。
そこには可愛らしいネコのイラストと【Fight!】の文字。
「僕に?」
「は、はい・・・」
「どうして僕にこれを?」
黒真珠のように煌く印象的な瞳を見つめながら、そう問えばウェイトレスの娘は頬を僅かに紅く染めながら口を開いた。
「あ、あの、ずっと集中されていたのようなのでお疲れだと思いまして・・・・というか、私の練習用のカプチーノで申し訳ないんですが・・・・」
少しの間、その娘と視線が交じり合わせながら沈黙が続く。
「ご、ごめんなさい・・・ご迷惑、でしたよね」
沈黙にウェイトレスの娘が弱々しい声と共に肩を落とす。
その姿があまりにも健気で可愛らしかった。
「クスクス・・・ありがと。それじゃ遠慮なく貰うね」
「はい!」
ふと笑みを漏らしながら、自分でもビックリするぐらい優しい声をウェイトレスの娘にかけていた。
すると、ウェイトレスの娘の表情はみるみるうちに満面の笑顔へと変ってき、嬉しそうな返事がかえされた。
その笑顔を堪能しながらカプチーノに口をつければ、暖かな液体が身体どころが心まで満たしていくような感覚を感じた。
コクリと喉を鳴らしながらカプチーノを飲んだ後には、不思議な安堵感とともに優しい想いが身体に満たされるかのようだった。
自分の淹れたカプチーノを飲む僕の姿をウェイトレスの娘がジッと真剣な眼差しで見つめている姿に、僕は再び笑い声を漏らす。
「あははは。真剣な目だね、ウェイトレスさん?」
「へ・・・?あ!!す、すいません!!お客様に対して失礼ですよね!!で、では、ごゆっくりどうぞ!!」
慌てた様子で、エプロンのリボンを翻しながら去っていくウェイトレスの娘の背を見つめながら僕は声を掛けた。
「カプチーノと優しさをアリガト。雪村千鶴ちゃん♪♪」
驚いたように目を見開いて僕を見る千鶴ちゃんにニコッリとした微笑みを贈った。
千鶴ちゃんは湯気でも出そうなくらいに顔を真っ赤にして口をパクパクとしている。
「な、なんで私の・・・?」
「なんでって。ココに書いてあるでしょ」
そう言って、僕は自分の胸元をトントンと叩いて、名札の存在を千鶴ちゃんに教えたのだった。
こうしてこの日から僕は、このカフェの常連になっていくんだけど・・・。
それはまた今度の機会にでも語ってあげるね♪♪
<END>
★♪☆後書き☆♪★
久しぶりの沖x千で、リハビリ兼ねております。
現在も色々と心配事はありますが、こんなときだからこそ
元気出していきたいと思います!!
復帰(?)第一弾は現パロでしたー。
いかがだったでしょう・・・なんかまた続きそうな雰囲気がorz
うん、妄想だけはあります。(←え)
ではでは、ここまでお読みいただき有難うございました!!